ダブルワークを検討しているものの、契約や税金、保険などでトラブルにならないか不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。ダブルワークの注意点は契約形態によって異なります。契約形態によっては労働時間や税金、保険など、さまざまな点に注意が必要です。
そこで今回は、ダブルワークの注意点をテーマに、税金や保険のルールからダブルワークをする企業の選び方まで詳しく解説します。
目次
ダブルワークは契約形態で注意点が異なる
ダブルワーク先との契約形態によって注意点が異なります。ダブルワークには、次のパターンがあります。
- 2社と雇用契約を結ぶ
- 1社と雇用契約を結び、ダブルワーク先と業務委託契約を結ぶ
本業で勤めている企業とは雇用契約を結んでいる方がほとんどだと思います。
そのため、ダブルワークのパターンは、ダブルワーク先で雇用契約を結ぶパターンと、業務委託契約を結ぶパターンのどちらかになります。
ダブルワークの共通の注意点
ダブルワーク先との契約形態が雇用契約と業務委託契約のいずれの場合にも共通している注意点について詳しく見ていきましょう。
ダブルワークができない場合がある
契約形態にかかわらず、ダブルワークができない場合があります。企業がダブルワークを禁止することは原則できません。
しかし、以下のような理由がある場合は、就業規則であらかじめ労働者にダブルワーク禁止の旨を明示しておくことで、ダブルワークの禁止・制限が可能になります。
- ダブルワークによって業務に支障をきたす場合
- 企業秘密が漏えいする場合
- 競合他社との契約などで自社の利益を害する場合
- 自社の名誉や信用を損なう行為がある場合
- 自社と労働者の信頼関係を壊す行為がある場合
ダブルワークの可否や業種の制限など、詳細については企業の担当者に確認したり、就業規則を確認したりしましょう。
確定申告が必要になることが多い
ダブルワークをしておらず1社とだけ雇用契約を結んでいる場合、企業が年末調整をします。
年末調整は、1月1日~12月31日までの給与に対して、納めすぎた税金を還付するための手続きです。1社からの収入だけの場合、年末調整が行われて、労働者は確定申告をする必要はありません。
ダブルワークの場合は、2つの企業と雇用契約を結んでいたとしても、年末調整を行えるのは1社のみです。そのため、ダブルワーク先から得た収入を含めた金額で所得税を計算し、確定申告をする必要があります。
ただし、確定申告が必要なのはダブルワーク先から受け取った給与が年間20万円を超える場合に限ります。
また、特殊なケースですが2社のいずれにおいても年末調整が行われない場合も確定申告が必要です。
納める税金が上がる
日本は、所得が増えれば増えるほど税金が高くなる累進課税制度を採用しています。そのため、ダブルワークで収入が増えると同時に納めるべき税金も増えます。
また、ネットオークションで得た利益やアフィリエイト報酬、原稿料、講演料などの「雑所得」は、33万円以上で住民税が、38万円以上で所得税が課税されます。
このように、ダブルワーク先との契約形態にかかわらず納める税金が上がる可能性があることに注意しましょう。
ダブルワーク先と雇用契約を結ぶ場合の注意点
続いて、ダブルワーク先と雇用契約を結ぶ場合の注意点について詳しく見ていきましょう。
労働時間を勤務先に伝える必要がある
2社と雇用契約を結ぶ場合は、勤務先の企業はそれぞれの事業場における労働時間を管理しなければなりません。そのため、それぞれの事業場における労働時間を労働者が各企業に伝える必要があります。
これは、すべての企業における労働時間を通算し、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超える場合は時間外労働にあたるとして割増賃金を支払う必要があるためです。
もし、法定労働時間を超えた場合は、後から雇用契約を締結した企業が時間外労働分の割増賃金を支払います。
例えば、最初に雇用契約を締結したA社の所定労働時間が1日7時間で、ダブルワーク先のB社が4時間の場合、1日8時間の法定労働時間を3時間オーバーしているため、B社は3時間分の割増賃金を支払うことになります。また、B社は労働者と36協定の締結が必要です。
雇用保険はどちらか一方でしか加入できない
雇用保険は、労働者の生活と雇用の安定、就職の促進などを目的に設けられた制度です。ダブルワークにおいて両方の企業で雇用保険の加入要件を満たしていたとしても、「主たる賃金を受ける企業」でしか加入できません。
そのため、ダブルワーク先が「主たる賃金を受ける企業」ではない場合、雇用保険における失業等給付や育児休業給付などを受けられません。
ただし、令和4年1月1日から開始する「マルチジョブホルダー制度」を利用できる場合は、労働者が希望すれば両方の企業で雇用保険に加入できます。マルチジョブホルダー制度の利用要件は以下のとおりです。
- 複数の事業所と雇用保険を締結している65歳以上の労働者
- 1つの事業所の所定労働時間が週5時間以上20時間未満であり、2つの事業所の所定労働時間の合計が週20時間以上
- 2つの事業所の雇用期間の見込みがそれぞれ31日以上
マルチジョブホルダー制度の利用に企業の許可は必要ありません。所轄のハローワークにて、マルチジョブホルダー制度の利用を希望する旨を伝えることで、両方の企業で雇用保険に加入できます。
労働時間によっては社会保険への加入が必要
社会保険は雇用保険とは異なり、要件を満たしている企業すべてで加入が必要です。社会保険料はそれぞれの企業から受け取る給料から天引きされます。なお、健康保険証は労働者が決めたメインとする企業からのみ発行されるため、複数枚を携帯することはありません。
社会保険は、以下すべてに該当する場合に強制的に加入となります。
- 年齢の要件を満たした(健康保険:75歳未満、厚生年金保険:70歳未満)
- 週の所定労働時間と月の所定労働日数が正社員の4分の3以上
- 常用的使用関係がある(相当な期間、継続して雇用されることが明確になっている)
また、平成28年10月からは、以下すべての要件に該当すれば社会保険への加入が必要になりました。
- 週の労働時間が20時間以上
- 月給88,000円以上
- 1年以上雇われている、または雇われる見込みがある
- 学生ではない
- 従業員が101人以上(2024年10月~は51人以上)
ダブルワーク先と業務委託契約を結ぶ場合の注意点
ダブルワーク先と業務委託契約を結ぶ場合、労働基準法の適用外となる点に注意が必要です。注意点について詳しく見ていきましょう。
労働時間に制限がないため働きすぎになりやすい
業務委託には労働基準法が適用されません。そのため、法定労働時間に関係なく働くことができます。
一見、上限なく収入を増やせるように思えるかもしれませんが、働きすぎによって心身に不調をきたすリスクがあります。
著しく低い報酬になる場合もある
雇用契約の場合、企業は労働者に対して最低賃金以上の時間給を保障する必要があります。一方、業務委託の場合は完全成果報酬制による支払が可能です。
例えば、原稿やイラストなどの納品をもって報酬を支払うとの契約を定めた場合、制作にどれだけ時間がかかったとしても時間給が別途支払われることはありません。
そのため、業務委託契約では非常に低い報酬になる場合があります。
ダブルワークが可能な会社の見分け方
就業規則に「ダブルワーク禁止」の事項が設けられていない場合、企業はダブルワークを禁止できません。しかし、応募の段階で就業規則は確認できないため、次の方法でダブルワークが可能な会社を見分ける必要があります。
求人ページに「ダブルワーク可」の記載がある
求人ページに「ダブルワーク可」と記載されている場合は、ダブルワークを認めていると考えられます。ただし、就業規則で一定の要件に該当しない場合に限りダブルワークを認めている可能性もあるため、事前に問い合わせておいた方がよいでしょう。
契約書でダブルワークの禁止が定められていない
雇用契約書にダブルワークの禁止が定められていない場合は、ダブルワークをしても問題ないと解釈できます。ただし、雇用契約書や就業規則で定めていないもののダブルワークを認めていない可能性もあります。
この場合、企業がダブルワークを制限することはできませんが、トラブルになるリスクがあるため、やはり事前に確認しておくことが大切です。
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ダブルワーク先を選ぶ際のポイント
自分にとって理想の働き方を実現するために、ダブルワーク先を選ぶ際は次のポイントを押さえましょう。
スケジュールがうまく噛み合うか
2社の労働時間帯がうまく噛み合うかどうか確認が必要です。例えば、シフト制の企業をダブルワーク先に選ぶ場合、どの時間帯のシフトに入ることを求められるのか事前に確認した方がよいでしょう。
また、業務委託契約を結ぶ場合は、休日にダブルワーク先の勤務が入ることで休みなく働くことになる可能性もあります。勤務の日と時間帯、休日の3つは必ず確認し、現実的にダブルワークが可能かどうかを見極めましょう。
心身のストレスのバランスが取れるか
ダブルワークは複数の業務をかけ持つため、体力だけではなく精神的な負担も大きい働き方です。長時間労働や仕事のプレッシャーが重なることで、心身のストレスが過多になる可能性もあります。
業務量や業務の種類、人間関係、サポート体制の充実度などを総合的に見て、心身の健康を保つことができるか判断しましょう。
競合他社ではないか
競合他社であれば現在のスキルを活かせるため、新たに業務を覚える負担が軽くなります。しかし、競合他社でダブルワークすることを現在勤務している企業が禁止している可能性があります。また、ダブルワーク先でも禁止されている可能性があるため、競合他社は避けた方がよいでしょう。
労働基準法を遵守しているか
ダブルワーク先が労働基準法を遵守しているかどうか確認が必要です。サービス残業が横行している場合、想定以上に心身への負担が大きくなる恐れがあります。
また、割増賃金を支払いたくないばかりに、現在勤めている企業に嘘の労働時間を報告するように強要されることもあるかもしれません。
現在、勤めている企業に迷惑がかかる可能性もあるため、労働基準法を遵守していることを前提にダブルワーク先を選びましょう。
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