副業での必要経費算入の注意点|家事按分や300万円問題も解説

副業・複業 最終更新日:

対象となる経費・家事按分など 副業での経費の取り扱い方
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副業にかかった費用は確定申告の際に、経費として正しく計上することで所得税を減らすことができます。ただし、副業の種類や費用の種類によって必要経費として算入できるものとそうでないものがあるなど、注意すべき点が複数あります。

この記事では、副業での確定申告をする際の経費に関する注意点をまとめます。以下に紹介するような注意点をしっかりと確認して、正しい節税を行いましょう。

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目次

副業にかかった経費は必ず記録する

まず大前提として副業にかかった経費はすべて記録を残しておくようにしましょう。

確定申告において、経費として算入をするには支出の内容を示す請求書や領収書などの証拠書類の保管が必要となります。これらの書類は確定申告時に提出する必要はありませんが、税務調査の対象となります。この調査では過去3~5年が対象となるほか、所得税の徴収の時効が7年であることから領収書など確定申告書を作成する際の書類は最長7年間保管しておく必要があります。

それらを普段から取りまとめ、記録しておくことで確定申告直前に慌てて準備をするということもなく、申告漏れの防止にも役立ちます。

また、「いつ」「どこで」「何のために」「いくら使ったのか」など、経費を記録することは収支管理にも役立ちますので、発生した経費はすぐに記録をする習慣をつけましょう。

あなたの副業は何所得?確定申告で必要経費の算入ができる所得の種類

税法では、収入から必要経費を差し引いた金額が「所得」と呼ばれます。そして、所得はその内容から利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得および雑所得の10種類に分類されます。

確定申告で必要経費の算入(収入からのマイナス)ができるかどうかは上記のどの所得に分類されるか、つまりどのような副業をしているかにもよります。副業として行われることが多く、必要経費の算入ができるのは、主に以下の3種類の所得です。

所得の種類内容
事業所得事業所得とは、小売業やサービス業、農業や漁業、自営業などで得た収入を指します。既出の不動産所得や山林所得は除かれます。
雑所得利子所得、配当所得、不動産所得、山林所得、給与所得、事業所得、退職所得、譲渡所得、一時所得の9つの所得に該当しない所得が雑所得に分類されます。
不動産所得不動産所得とは、マンションやアパートなどの貸家、駐車場などの貸地など賃貸で得られる収入のことを指します。

アルバイトなどの「給与所得」では必要経費のマイナスはできない

この記事を読まれている方の中には、副業でアルバイトをされている方もいるかもしれません。アルバイトの給与は「給与所得」に分類され、給与所得は上記の表には含まれていません。つまり、アルバイトなどを副業としている場合は必要経費の算入が認められないということですので注意が必要です。

事業所得・雑所得の違いとその違いが重要な理由

雑所得は青色申告と損益通算ができない

「事業所得」、「雑所得」、「不動産所得」で経費の算入が可能と説明をしましたが、ご自身が行われている副業が「事業所得」なのか、「雑所得」なのか判断がつきにくいケースはよくあることです。「どちらも経費の算入が可能なら、どちらでもいいのでは?」と思われる方もいるかもしれませんが、実はこの違いはとても重要な違いになります。

上述の通り、事業所得と雑所得のいずれも必要経費の算入は認められていますが、雑所得は青色申告をすることができません。青色申告の詳細はここでは記載しませんが、青色申告の1番のメリットと言えるのは最大65万円の特別控除です。該当するケースでは、所得が65万円減ることになり、大きな節税効果を得られます。

また、雑所得では損益通算もすることができません。損益通算とは、利益と損失を相殺できる制度で、例えば副業の事業が赤字だった場合に、その損失額を本業の給与所得などから差し引くことができます。ご自身の副業が事業所得であれば、この損益通算が認められているため、赤字が発生した際に、本業と合わせることで節税が可能です。一方の雑所得では損益通算は認められていません。

上記の理由から、ご自身の所得が事業所得なのか雑所得なのかは重要な違いになります。

300万円問題で話題になった事業所得と雑所得の基準

では、どのような所得が事業所得と認められるのでしょうか。結論から言うと、事業所得者に義務付けられた記帳や帳簿書類の保存が行われていれば概ね事業所得と認められることになります。

事業所得と雑所得の基準をめぐっては、副業の300万円問題について耳にしたことがある方も多いかもしれません。近年副業を行う方が増える中で、実態がなくほぼ売上がない事業に対して必要経費を算入し意図的に赤字を出す方が現れました。この赤字を、本業の所得に合算(相殺)して所得を減らし、極端な節税をするのが目的です。これを背景に国税庁は2022年8月に年間の収入が300万円以下の副業は一律で事業所得ではなく雑所得とするという通達の改正案を発表しました。つまり年間の収入が300万円以下の副業では一律で青色申告や損益通算ができなくなるという改正案でした。しかし、この改正案は『節税のための意図的な赤字』ではなく『事業ありきで結果として赤字』となっているケースにまで影響が及ぶ改正案であったため、多くのパブリックコメントで反対意見が寄せられました。

これを受けて国税庁は通達を見直すに至り、事業所得者に義務付けられている記帳と帳簿の保管を行なっていることを事業所得かどうかの判断基準とし、収入金額による一律の基準は適用されないこととなりました。ただし、記帳と帳簿の保管を行なっていたとしても、以下のようなケースでは事業と認められるかどうか個別に判断となりますので注意が必要です。
その所得の収入金額が僅少と認められる場合
その所得を得る活動に営利性が認められない場合

参考:https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/kaisei/221007/pdf/02.pdf

経費として算入する際のポイント

次に多くの方が気にされているであろう、どのような費用を経費として申告することができるかについて説明します。

経費として算入する際のポイント

申告した費用が経費であると認められるか否かについては税務所の判断となりますが、以下の4つのポイントが基本となるのでおさえておきましょう。

事業(副業)に必要なものへの支払い

事業に必要なものへの支払いは経費として認められますが、事業に関係していないプライベートなものへの支払いは経費として認められません。 例えば、事業に車を使用している人であればそのガソリン代などを経費として算入することが可能ですが、事業に車を全く使用していない人がガソリン代を経費として算入することはもちろんできません。 プライベートと事業で兼用しているものにかかる費用がある場合には、事業で使用している金額を算出し、その分だけを経費として算入することができる「家事按分」という制度もあります。詳細については後述します。

自身で支払いをしたもの

当たり前ではありますが、経費として申告できるのは自身で支払いをしたものだけです。取引先との打合せや会食などで、先方が支払ったものを自身の経費として申告することはできません。

1月から12月の間に『発生』したもの

また経費として申告できるのはその年の1〜12月に『発生』したものです。注意すべきは『支払い』ではなく『発生』が基準になるということです。12月末時点で支払いが完了していなくても、商品を受領済みであったり、サービスを利用開始していれば経費として『発生』していることになるので、その年の経費として申告が可能になります。 例えば、協業しているデザイナーに委託した制作物が12月に納品され、翌年1月の支払いとなった場合、その費用は、支払いがあった1月ではなく、納品があった12月の経費とすることができます。

領収書やレシートなど証拠となる書類が保管できているもの

保管する領収書やレシートなどの書類は「いつ」「どこで」「何のために」「いくら使ったのか」が記されている必要があります。領収書がもらえなかったり、失念していた場合でも出金伝票などにこれらを記しておくことで証拠書類として認められるので、忘れずに記録しましょう。

経費として認められる費用の例

以下は経費として申告ができる費用の具体例です。

費用の種類内容
販売商品に関する費用物販などの副業において、商品の発送費や商品保管のための倉庫賃料などは経費として認められます。
取引先に関する費用取引先との会食などの接待費や香典、祝い金などは経費として認められます。ただし、事業に直接関係していることが大前提です。交際費に金額の制限はありませんが、常識の範囲にとどめるようにしましょう
広告費チラシやインターネットへの掲載などの広告料は経費として認められます。
仕事に関する備品や道具仕事で使用するパソコンや仕事机、カメラなどの備品や道具は経費として認められます。ただし10万円未満といった条件もあります。
通信費インターネット、仕事用の携帯代などの通信費は経費として認められます。
その他文房具や仕事の情報収集のために必要な参考書や雑誌の購入費は経費として認められます。

また、不動産所得の場合には以下の費用も経費として認められます。

費用の種類内容
賃貸物件にかかる税金不動産取得税や固定資産税など賃貸物件にかかる税金は経費として認められます。
賃貸物件の光熱費ガス代、水道代、電気代など賃貸物件にかかる光熱費のうちオーナーが負担する部分は経費として認められます。
管理費管理会社への管理手数料などは経費として認められます。

副業時には覚えておきたい家事按分

家事按分とは

家事按分とは生活と事業で兼用しているものにかかる費用のうち、事業で使用している金額を算出し、その分を経費として算入することができる制度です。

会社員で副業をされている人の中には、副業では専用のオフィスを持たず自宅で作業をしているという方も多いかと思います。このような自宅兼仕事場のような場合は家賃や光熱費のうち事業に関連する部分を経費として申告することができるというものです。

このようなケースの場合、どのように生活費と経費とを区分したらよいのでしょうか。一般的には事業割合(仕事で使用している割合)をもとに計算をします。事業割合は、例えば以下のような方法で決めることができます。

  • 地代家賃などの賃料:仕事スペースとして使用している面積や事業時間の割合に基づき算出
  • 水道光熱費(電気・ガス・水道):1日の業務時間の割合に基づき算出
  • 自動車のガソリン代:走行距離や事業で使用した日数に基づき算出
  • インターネットの通信費:事業で使用した日数やデータ利用量に基づき算出

このようにして決まった事業割合を、実際の支払金額にかけることで、仕事に使っている金額を算出し、その分を経費として計上します。

所得税法では家事按分の区分方法が規定されていないため、各人が判断して区分する必要がある点に注意が必要です。費用が業務にとって直接必要であるということを説明できるよう、合理的な基準を用いて生活費と明確に区分するようにしましょう。


家事按分の注意点:青色申告・白色申告での家事按分の可否

青色申告でないと家事按分は認められないと言う声を聞くこともありますが、家事按分の可否は必ずしも青色申告か白色申告かで決まるものではありません

法令上、白色申告はその費用の主な部分(50%以上)が事業に必要な経費であれば、家事按分をして、事業に必要であった部分を経費として計上をすることができるとされています。一方、青色申告では、その費用の事業割合に関わらず、事業に必要であった部分を経費として計上することができます。事業割合50%以上という割合の制限がない分、青色申告の方が家事按分を行いやすいと考えられています。

ただし、国税庁の通達によると、白色申告の場合でも、事業に必要な経費を明確に区分することができれば、事業割合が50%以下であったとしても必要経費に算入して良いと述べられています。つまり、白色申告でも、事業割合が50%に満たない経費の家事按分が可能と言うことになります。

参考:https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/07/01.htm

判断が難しい部分もありますので、ご自身のケースにおいて、家事按分が可能なのかどうか迷われる場合は、税理士に相談をするようにしましょう。

副業における経費の取り扱い方(まとめ)

  • 領収書など確定申告書を作成する際の書類は最長7年間保管しておく必要がある
  • 必要経費の算入ができる所得は「事業所得」「雑所得」「不動産所得」
  • アルバイトなど「給与所得」は必要経費の算入ができない
  • 「事業所得」と「雑所得」の判断基準は記帳と帳簿の保管を行なっているかどうか。ただし、帳簿の保存をしていても、事業性が弱ければ雑所得として扱われる
  • 事業用と私用の兼用の場合、一部を経費として申告する「家事按分」という制度がある
  • 家事按分の計算に明確な決まりはないが「時間」「面積」「距離」など合理的な基準で事業割合を求める

必要経費をしっかりと算入することによる節税効果は魅力的ですが、どんな支出でも経費にできるわけではありません。制度についてきちんと理解を深めておきましょう。

※本記事は2023年4月24日現在の情報をもとに記載しています。

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