
「正社員と業務委託どっちがいいかな..?自社に合う形態を知っておきたい」
正社員と業務委託の違いは企業の人材戦略を左右する大切な要素。
コストや育成面での違いが明確な一方で、中には「契約の切り替えでトラブルが起きた」「期待通りに機能しなかった」などの声があるのも事実。
そこで今回は「正社員と業務委託はどっちがいいのか?」を徹底解説します。
本記事では、企業側の目線で10項目の比較ポイントを解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
正社員と業務委託はどっちがいい?
「正社員と業務委託、どちらを採用するのが良いのか?」この問いは多くの企業が抱える共通の悩みです。
人件費の圧縮、人材の安定確保、情報管理、法的リスクなど、検討すべき要素は多岐にわたります。
なので、まずは企業側の視点から「正社員と業務委託の違い」を10項目に分けて比較し、それぞれの特徴や注意点を詳しく解説していきます。
- 人件費の固定化リスク
- 社会保険料の負担有無
- 雇用契約上の法的拘束力
- 教育・研修コストの必要性
- 突発的な業務への柔軟対応力
- 情報漏洩リスクの管理難易度
- 業務遂行の裁量度合い
- 継続的な人材確保の安定性
- 成果物に対する責任範囲の違い
- 契約終了時のトラブルリスク
順番に見ていきましょう。
どっちがいい?①:人件費の固定化リスク
正社員を雇用すると、月額の給与だけでなく、賞与・各種手当・退職金などを含む固定費が毎月発生します。さらに、業績が落ち込んでも人件費は簡単に削減できず、経営上の重い負担になるリスクがあります。例えば、2023年の中小企業白書によれば、従業員10人未満の企業では人件費の固定化が資金繰り悪化の大きな要因とされています。
それに対して業務委託は、必要なときに必要な範囲だけ業務を依頼することが可能です。稼働時間や成果物に応じて費用を支払うため、繁忙期やスポット案件にも柔軟に対応しやすいメリットがあります。無駄な固定費を避け、業績の変動にも柔軟に対応できる体制を築きやすい点が特徴です。
どっちがいい?②:社会保険料の負担有無
正社員を雇用する企業は、厚生年金保険・健康保険・雇用保険・労災保険など、各種社会保険の事業主負担分を支払う義務があります。一般的に給与の約15〜18%程度に相当し、企業の人件費総額を押し上げる要因となっています。
一方、業務委託契約では原則として社会保険の加入義務は発生しません。報酬は「外注費」として処理でき、企業側の負担は比較的小さくなります。同じ業務量を依頼する場合でも、正社員に比べてコストを圧縮しやすいという利点があります。
ただし、業務委託の人員が実態として指揮命令下にある場合、契約形態を問わず「偽装請負」と見なされ、社会保険の遡及加入などを指導されるケースも存在します。契約書の内容だけでなく、実際の業務遂行のあり方も含めて慎重な対応が必要です。
どっちがいい?③:雇用契約上の法的拘束力
正社員との関係は労働契約に基づいており、労働基準法や労働契約法が適用されます。解雇や契約終了には正当な理由や手続きが求められ、企業にとって法的リスクや制約が生じやすい構造となっています。
人員整理や業績悪化に伴うリストラの場面では、解雇権の濫用が認定されないよう、慎重なプロセス管理が必須。万が一不当解雇と判断された場合、労働審判や訴訟に発展するリスクも想定されます。
一方、業務委託契約は民法上の「請負契約」や「委任契約」として扱われ、法的には対等な事業者間の取引とみなされます。そのため、契約期間満了による終了や中途解約も、契約書の定めに従えば比較的スムーズに実施できます。事業変化に合わせて人材リソースの調整を行いたい企業にとって、柔軟性の高い選択肢と言えます。
どっちがいい?④:教育・研修コストの必要性
正社員を育成するには、入社時研修やOJTの実施、定期的なスキルアップ研修など、多くの教育コストと時間を要します。特に未経験者の採用が中心となる場合、業務戦力化までの時間がかかり、短期的には生産性が下がるリスクがあります。
業務委託は、特定のスキルや経験を持った人材に限定して依頼するケースが多く、基本的に即戦力が前提となります。そのため、教育にかかる手間やコストを大幅に削減でき、プロジェクト開始からすぐに実務を任せられるのが魅力です。
ただし、業務委託人材は自社の文化や長期的な戦略に対する理解が浅い場合があり、組織全体での成長を期待するには向かない側面もあります。企業の目指す方向性に応じて、どこまで内部育成に重きを置くかが判断の分かれ目となります。
どっちがいい?⑤:突発的な業務への柔軟な対応力
正社員は基本的に勤務時間や職務内容が定められており、急な業務変更や時間外対応には限度があります。労働基準法による残業制限や深夜勤務の規制もあるため、突発的なトラブルや対応が求められる場面では制約を受けやすい傾向があります。
その一方で、業務委託は契約内容に応じて成果物の納期や成果基準が設定されており、時間に縛られず成果ベースでの稼働が前提となります。そのため、短納期プロジェクトや休日・夜間対応が求められる業務にも、柔軟に調整しやすいという強みがあります。
ただし、契約外の対応を依頼した場合、追加費用が発生するケースが多く、緊急性のある業務であっても即時対応が難しい場合もあるため、事前のすり合わせや明確な範囲設定が不可欠です。
どっちがいい?⑥:情報漏洩リスクの管理難易度
正社員は、入社時に守秘義務契約や社内ポリシーを共有し、日常的に情報管理の教育を受けることで、内部情報の取り扱いに対する理解が深まります。また、長期的な雇用関係の中で信頼関係を築けるため、情報の外部流出リスクを抑えやすい構造があります。
一方で、業務委託に外部の個人や企業を起用する場合、情報セキュリティに対する意識や体制が必ずしも自社と一致していないこともあり、特に機密情報の取扱いには注意が必要です。NDA(秘密保持契約)の締結やクラウド上のアクセス制限、データ共有ルールの徹底など、事前の対策が不可欠となります。
情報資産を多く扱う業種では、どの業務を外注するかについても慎重な判断が求められます。
どっちがいい?⑦:業務遂行の裁量度合い
正社員は、企業の指揮命令系統に従って日々の業務を遂行します。業務内容や優先順位も上司からの指示をもとに変更できるため、組織全体の方針に基づいて柔軟な対応を求めやすい特徴があります。
これに対し、業務委託はあくまで契約で定められた業務範囲・成果物に対して責任を持つ形式であり、企業側が直接指示を出すことは原則できません。業務の進め方や手法は委託先に委ねられることが多く、社内のマネジメント体制とは切り離して考える必要があります。
このため、業務委託では自由度の高さがメリットである一方で、柔軟な業務の変更や、タスクの差し替えといった現場対応が難しい点にも留意が必要です。
どっちがいい?⑧:継続的な人材確保の安定性
正社員は長期雇用を前提としているため、企業文化やビジョンへの理解を深めながら、組織の中核人材としての成長が期待できます。離職率が低ければノウハウの蓄積や後進の育成にも寄与し、組織全体の安定につながります。
一方で、業務委託はプロジェクト単位や短期間での契約も一般的なため、同一人材との継続的な取引が難しい場合があります。契約終了後の引き継ぎや品質の維持にも課題が生じやすく、長期的な戦力として活用するには限界があるといえます。
また、フリーランス人口の増加に伴い、人気のあるスキル保有者には複数企業からの引き合いが集中しており、安定的な確保が難しい現状もあります。
どっちがいい?⑨:成果物に対する責任範囲の違い
業務委託は、契約で合意した成果物に対して報酬が支払われる成果報酬型が基本です。そのため、納品されたアウトプットが基準に達していなければ、修正依頼や契約の見直しが可能な場合もあります。責任の所在が明確であり、評価基準も定量的に管理しやすい点が特長です。
それに対し、正社員は業務プロセス全体に従事し、チーム単位での成果に寄与する形が多いため、個別の成果物に対する評価が曖昧になりがちです。責任の所在が分散し、プロジェクトの遅延や品質のばらつきが発生した場合の原因追及が難しいケースもあります。
アウトソーシング先との契約で成果責任を明確にできる点は、業務委託の大きな利点となります。
どっちがいい?⑩:契約終了時のトラブルリスク
正社員との雇用契約を終了するには、法的に正当な理由が必要であり、退職勧奨や解雇に関しては非常に慎重な対応が求められます。不適切な手続きによっては、訴訟リスクや企業イメージの毀損にもつながる恐れがあります。
一方、業務委託は契約期間の満了や合意解除によって比較的スムーズに関係解消が可能です。再契約や条件変更も柔軟に行えるため、業務量の変化や予算の都合にも対応しやすい構造になっています。
ただし、契約書の内容が不十分だった場合や業務範囲が曖昧だった場合には、報酬の支払いトラブルや納品拒否などの問題が起こる可能性もあるため、締結時の確認と記載の精度が重要です。
業務委託より正社員が向いている企業

企業が人材を採用する際、「業務委託」と「正社員」のどちらが最適かは、事業の性質や経営方針によって変わります。
企業の中長期的な視点で安定した組織づくりを目指す場合には、正社員の雇用がより適しているケースがあります。
次に、業務委託ではなく正社員を採用すべき企業の特徴について、企業目線で解説していきます。
- 長期的に人材を育成し、組織に定着させたい企業
- 社内でノウハウを蓄積し、継続的に業務改善を図りたい企業
- 指揮命令系統のもとで柔軟な業務指示を行いたい企業
順番に見ていきましょう。
正社員向け企業①:長期的に人材を育成し、組織に定着させたい企業
企業が長期的に成長していくためには、従業員一人ひとりのスキルアップと組織文化への適応が不可欠です。正社員として雇用することで、企業文化を共有しながら、教育・研修を通じて段階的に育成する体制が整いやすくなります。
経済産業省の調査によれば、OJTを含めた人材育成の実施率は正社員に対して高く、業務委託契約ではその割合が著しく低い傾向にあります。これは、企業が人材への投資を長期的なリターンとして捉えている証拠と言えます。
業務委託では、契約が一時的であることが多く、ノウハウや知識の社内蓄積が難しいという課題があります。一方、正社員であれば、長年にわたって社内の業務に携わることで、業界特有のナレッジや顧客対応力を磨くことが可能となります。人材を資産と捉える企業にとって、正社員の採用は戦略的に有効です。
正社員向け企業②:社内でノウハウを蓄積し、継続的に業務改善を図りたい企業
日々の業務から改善点を見つけ、継続的な業務効率化や品質向上を図るためには、現場に対する深い理解と継続的な関与が求められます。正社員は業務プロセスの全体を把握し、改善提案や実行まで一貫して対応できる点で大きな強みを持ちます。
業務委託の場合、成果物の納品を目的とするため、業務の背景や改善の必要性まで踏み込むケースは少なくなります。また、委託先が変わるたびに引き継ぎや再教育が必要となり、組織全体としてノウハウが蓄積されにくくなります。厚生労働省のデータでも、正社員が所属する部門ではPDCAサイクルを活用した改善活動の定着率が高く、業務の属人化やブラックボックス化を防ぐ取り組みにも繋がっていることが分かっています。業務そのものを継続的に育てていきたい企業にとっては、正社員の存在が業務改善の推進役となるでしょう。
正社員向け企業③:指揮命令系統のもとで柔軟な業務指示を行いたい企業
日々の業務が変動しやすく、業務内容や担当範囲を柔軟に調整する必要がある現場では、正社員のように指揮命令系統に従って働ける人材が適しています。業務委託契約では、業務内容や成果物が契約書で明確に定義されており、企業側から直接的な業務指示を出すことは原則としてできません。
このため、臨機応変な対応が求められる業務や、多岐にわたるタスクが同時進行するような部署では、業務委託では対応しきれない場面が多くなります。また、急な人事異動や業務の再編にも、正社員であればスムーズに対応可能です。
人事的な統制力を保ちながら現場を運営したい企業や、状況に応じて業務内容を変更する必要がある組織では、正社員の柔軟性が非常に有効に働きます。組織の一体感を高めつつ、状況に応じた機動力を維持したい場合、正社員の方が業務委託よりも適していると言えるでしょう。
正社員より業務委託が向いている企業

反対に、正社員より業務委託が向いている企業は以下の通りです。
- 一時的な業務や短期プロジェクトが多い企業
- 専門スキルを即戦力として活用したい企業
- 人件費の固定化を避けてコストを変動費化したい企業
順番に見ていきましょう。
業務委託向け企業①:一時的な業務や短期プロジェクトが多い企業
業務の繁忙期だけ人手が足りなくなる、または特定のプロジェクトのみ人材が必要となる企業では、正社員を新たに採用するよりも、業務委託の方が合理的です。必要な期間のみ契約できるため、人件費を変動費化でき、経営の柔軟性が高まります。
経済産業省が発表した中小企業の人材活用に関する調査によると、短期契約での業務委託を導入している企業は年々増加傾向にあり、特にITやクリエイティブ業界ではフリーランスや外部人材の活用が一般化しています。これらの業界では、短納期かつ高専門性のタスクが多く、案件単位での委託が相性のよい構造となっています。
また、採用から即戦力化までのタイムラグを避けたい企業にとっても、すぐに稼働できる業務委託人材の方が最適です。
業務委託向け企業②:専門スキルを即戦力として活用したい企業
社内にない高度なスキルや特定分野の専門知識を活用したい場合、正社員として採用・育成するには時間とコストがかかります。業務委託であれば、即戦力の外部人材に依頼することが可能であり、短期間で高品質な成果を得ることができます。
例えば、システム開発・Webマーケティング・動画制作・経営コンサルティングなど、専門領域に強いフリーランスや個人事業主は多く存在しており、クラウドソーシングや人材マッチングサービスを通じて迅速に契約できます。
このような背景から、専門知識が必要な業務に対しては、正社員の長期育成よりも、即戦力の外部人材を活用する方が結果的に効率的な採用となる場合もあります。
業務委託向け企業③:人件費の固定化を避けてコストを変動費化したい企業
固定費としての人件費が経営に与えるインパクトは大きく、収益が不安定な企業や新規事業を展開する企業では、できるだけ固定費を抑え、コストを変動費として管理したいニーズが大きいでしょう。
業務委託を活用すれば、業務量に応じて契約を調整できるため、売上とのバランスを見ながら人件費の最適化が可能となります。
正社員を採用した場合、給与に加え、賞与・社会保険・退職金など、総人件費は想定以上に膨らむ傾向があります。一方で業務委託では、そのような法定福利費の負担はなく、支払額もあらかじめ契約で明確に定められるため、予算管理がしやすいという利点があります。
業績に波がある企業や、外部環境の影響を受けやすい業種においては、固定費を抑えつつ、必要な時にだけ人材を確保できる業務委託の仕組みがフィットしやすい構造と言えるでしょう。
正社員と業務委託はどっちがいい?:まとめ
正社員と業務委託は、どちらにも明確なメリットとデメリットがあります。企業の方針や業務内容によって、最適な契約形態は異なるでしょう。長期的な人材育成や組織力の強化には正社員が向いています。一方で、専門性や柔軟性を重視する場面では業務委託が有効です。
本記事では、人件費、法的リスク、育成コストなど、判断に迷う要素も網羅し、企業側の視点から比較すべき10項目を整理しました。人材活用に悩む企業担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
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