「従業員がコア業務に集中できない」
「人件費を抑えたい」
このような理由で業務の外注化を検討している方は多いのではないでしょうか。副業解禁によってハイスキルを持つ個人も増え、従来よりも外注先を見つけやすくなっています。
ただし、外注化の方法を誤ると業務に支障をきたしたり、反対にコストがかさんだりする恐れがあります。
そこで今回は、外注化の意味やメリット・デメリット、外注先の探し方などについて詳しく解説します。
目次
外注化とは
外注とは、業務の一部またはすべてを企業や個人に発注することです。この外注ができる仕組みを作ることを「外注化」といいます。いきなり外注をしようとしても、業務内容や目的、細かなニュアンスなどが伝わらず、期待した成果物が納品されません。
そのため、希望どおりの成果物が納品される外注の仕組み作りが必要です。
外注化のメリット
外注化に成功すれば、専門的なスキルを持つ人材に必要なときに仕事を発注できます。外注化のメリットについて詳しく見ていきましょう。
人件費を削減できる
業務の遂行には、人件費や設備費がかかります。従業員は一度雇用すると簡単には解雇できないうえに設備も継続的に使用することになるため、これらの費用は「固定費」に該当します。
一方、業務を外注化する場合は必要なときにのみ業務を発注するため、外注にかかった費用は「変動費」となります。変動費は経営状況が悪化したときに削りやすいため、外注化はリスクを抑えられる手法と言えるでしょう。
専門家に業務を依頼できる
外注したい業務の専門知識や技術を持つ企業や個人に外注すれば、社内で対応するよりも質の高い成果物を得られる場合があります。また、社内でハイスキル人材を育成するコストも削減できるうえに、退職による人材流出の心配もありません。
従業員の負担が軽減する
業務には、利益を生み出す「コア業務」と、利益が生まれづらい「ノンコア業務」があります。例えば、営業や販売などはコア業務、経理や人事、コールセンターなどはノンコア業務です。ノンコア業務は間接的に利益につながるうえに、企業を維持するために必要な業務のため、ないがしろにはできません。
そこで、ノンコア業務を外注化すれば、従業員がコア業務に集中しやすくなります。それでいて、ノンコア業務の質が大きく落ちることもありません。
外注のみで事業の立ち上げも可能
専門知識や技術を持つ企業や個人を複数見つけることができれば、外注のみで新事業の立ち上げも可能です。例えば、営業や販売を丸ごと外注化する方法があります。ただし、大きなトラブルが起きたときに1つの事業が機能しなくなる恐れがあるため、従業員による管理も必要です。
外注化のデメリット
外注は、必要なときに専門スキルを持つ人材に業務を発注できる優れた手法です。ただし、失敗を防ぐためにも事前にデメリットを理解しておく必要があります。外注化を検討する際は、メリットと一緒に次のデメリットも確認し、慎重に判断しましょう。
外注費がかかる
外注は人件費や設備費などの固定費を削減できるものの、外注先によってはより多くのコストがかかります。例えば、作業の代行ではなく結果を出すことに主軸を置いた場合、より多額の外注費が必要になるでしょう。
必要なときにだけ業務を発注できる点は大きなメリットですが、1回の外注費が高すぎると十分な利益を得られない恐れもあります。例えば、結果を出すことに主軸を置かない企業・個人に外注し、外注費が100万円で得られる収益が150万円とした場合、利益は50万円です。
これを外注費が高いものの結果を出せる企業・個人に外注した場合、外注費が200万円で得られる収益が220万円とすれば、利益は20万円となります。確かに、多くの収益を得られていますが、利益を考慮すると外注に成功したとは言えないでしょう。
得られる利益の予想を踏まえて、外注費の予算や外注先選びの基準を設定することが重要です。
意思疎通が難しい
外注先は自社の従業員ではないため、最終目標、方針などの認識に相違が生まれることがあります。例えば、仕上がったものから順次納品が常識と考えていても、外注先は納期ギリギリに全て納品しても問題ないと考えているかもしれません。
また、問い合わせを増やすための記事コンテンツを発注したつもりが、サイトへの流入を増やすだけの記事コンテンツが納品されるような場合もあります。
入念の事前打ち合わせで業務の詳細や方向性などを決めておくことが大切です。
社内にノウハウが蓄積されない
内製化は完全外注化と比べてコストを抑えられるほか、外注先の経営体制の影響を受ける心配がありません。そのため、社内の状況が整ってきたら、外注をやめて内製化しようと考える企業も多くみられます。
しかし、1つの業務を完全に外注化した場合、その業務に関する知識やスキルを持つ人材が育ちません。社内にノウハウが蓄積されないことで、内製化が難しくなります。
信頼性が高い外注先を見つけるのに時間がかかる
外注先によって納品物の品質やコミュニケーションコスト、法律面における信頼性などが異なります。安心して依頼できる外注先を見つけるのには時間がかかるでしょう。
法人に絞り込むにしても、個人と比べてコストが高くなるうえに、法人でも信頼性が低い場合があります。
外注時の契約形態
外注する際は、法人・個人と「請負契約」か「委任/準委任契約」を締結します。ここで注意したいのが、外注する際によく使われる「業務委託」との違いです。業務委託は「業務を法人や個人に代行してもらう」「契約をはじめとする法律行為や事務処理を法人や個人に代行してもらう」を意味します。
つまり、業務委託は契約形態の名称ではなく外注の形式のことです。そして、業務委託をする際に「請負契約」か「委任/準委任契約」を締結します。それでは、「請負契約」と「委任/準委任契約」の違いについて詳しく見ていきましょう。
請負契約
請負契約は、成果物に対して報酬を支払う契約形態です。労働そのものではなく成果物に対して報酬を支払うため、成果物が納品されなかった場合は報酬の支払義務は発生しません。また、成果物に何らかのミスがあった場合は、委託された側が補償する必要があります。
業務の進行方法については委託された側が決定するものであり、委託した側が決めることはできません。また、誰がどのように納品物を作製するのか、いつ作製するのかなども委託された側が決めます。
委任/準委任契約
委任/準委任契約は、業務そのものに対して報酬を支払う契約形態です。成果物は存在しないため、委託された側が補償するような取り決めはありません。「法律に関する業務委託かどうか」で委任契約と準委任契約のどちらを締結するかが決まります。
訴訟を起こす際の代理人や土地の売却の代行などは法律に関する業務のため「委任契約」を締結します。事務処理や産業医への診察の依頼、介護サービスの依頼などは法律に関係がないため「準委任契約」となります。
外注先の探し方
希望条件を満たした外注先を見つけるには、さまざまな方法を用いて効率的に探す必要があります。次のような方法で外注先を探しましょう。
知人に紹介してもらう
外注化プロジェクトの担当者や他の従業員、企業の代表者などの知人に外注先を紹介してもらう方法があります。例えば、他の企業の代表者が知人の場合、実際に利用している外注先を紹介してもらえることも少なくありません。
外注先の評判を確認したうえで外注を検討できるため、失敗のリスクが軽減します。
クラウドソーシングを利用する
クラウドソーシングは、仕事を発注したい法人・個人と仕事を受注したい法人・個人をつなげるプラットフォームです。特に個人の登録者が多い傾向があるため、ライターやイラストレーターなどのクリエイターや、税理士や弁護士、社会保険労務士などの士業などに依頼したい場合に適しています。
また、クラウドソーシングでは登録者の第三者評価や実績などを確認のうえで外注先を選べるため、自身で調査する時間を削減できます。
マッチングサービスを利用する
特定の業務内容に特化したマッチングサービスを利用すると、ニーズに合った外注先を効率的に探すことができます。営業なら営業人材が多く登録しているマッチングサービスで探すとよいでしょう。
弊社「Anycrew」でも副業マッチングサービスとして専門スキルを持つフリーランス・副業人材を紹介しておりますので、ぜひ一度チェックしてください。
インターネット検索で探す
外注先をインターネット検索で探すのも1つの方法です。例えば、営業代行を依頼したい場合は「営業代行」「営業代行業者」などでGoogle検索すると多くの企業が表示されます。企業のホームページに掲載されている実績や会社概要をチェックして、相談先を選びましょう。
ただし、検索表示順と企業の信頼性や実績は関係がないことに注意が必要です。例えば、検索結果の1ページ目に表示されているからといって、優れたスキルを持つ企業とは限りません。また、Google検索結果の最上部に「スポンサー」と表示されているものはリスティング広告といって、誰でも出稿できる広告のため信頼性やスキルの証明になりません。
SNSで探す
FacebookやInstagram、Twitter、WantedlyといったSNSで探すのも1つの方法です。企業はマーケティングを目的にSNSアカウントを開設している場合があります。例えばTwitterでは企業の公式アカウントのツイートから業務内容や実績などを確認できます。
信頼性の判断材料として、機密情報を漏洩していないか、言葉づかいに問題はないかなどを確認しましょう。
外注先を選ぶときのポイント
ニーズにマッチした信頼性が高い外注先を選ぶために、次のポイントを押さえましょう。
信頼性を確認する
企業の信頼性を知るために、社名でインターネット検索をして、不祥事を起こしていないか確認しましょう。また、Googleマイビジネスの口コミや実際に働いていた人の口コミなどもチェックし、信頼できるかどうかを見極めます。
ただし、実際に業務を依頼しなければ信頼できるかどうかは判断できません。特に、初回依頼は少額の発注に留めて信頼性やスキルなどを確認することが大切です。
実績・ポートフォリオを確認する
企業の実績や実際に制作した成果物などを確認しましょう。どれだけ素晴らしい実績がある旨がホームページに記載されていても、それが事実かどうかは判断できません。そのため、ポートフォリオとして公開されている成果物を確認することが重要です。
また、その企業に依頼した企業のインタビュー記事がないか調べましょう。依頼した理由や結果など詳しい情報を確認できるため、大きな判断材料になります。
連絡の取りやすさを確認する
メールや電話、Web会議など、連絡手段を確認しましょう。また、業務を進めている途中にコミュニケーションが必要になったときに、スムーズに連絡が取れるかどうかも確認が必要です。例えば、急ぎの確認事項が出てきた際に、電話やWeb会議ツールなどですぐに連絡が取れるかどうかを確認します。
また、連絡手段がメールのみの場合は、追加料金を支払えば電話対応が可能になるかどうかなどもあわせて確認することをおすすめします。
フリーランス・副業人材を探すなら「Anycrew」がおすすめ
外注は、専門スキルを持つ外部の人材にコストを抑えて業務を発注する方法です。専門スキルを持っているとしても、自社のニーズにマッチしていない企業もあるため、事前に信頼性や実績などを確認のうえで依頼先を検討する必要があります。
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