事業成長を実現する上で、マーケティング戦略の立案や実行は非常に重要な要素です。マーケティングの強化にあたっては、社内リソースだけではなく、外部の「マーケティングコンサルタント」を起用するという方法があります。
ただし、マーケティングの守備範囲は広く、コンサルタントによっても得意分野や対応領域は多種多様なので、自社の課題を確認した上で依頼先を慎重に選ぶことが大切です。
本記事では、マーケティングコンサルタントの役割や依頼可能な業務内容を紹介します。マーケティングコンサルタントに依頼するメリットや、コンサルタントを選定する際のポイントについても解説します。ぜひ、依頼先を検討する際の参考にしてください。
目次
マーケティングコンサルタントとは
「マーケティングコンサルタント」とは、企業の事業成長を実現するために必要な、マーケティング戦略立案や実行を支援する専門家です。
「マーケティング」と「コンサルタント」の定義を理解することで「マーケティングコンサルタント」の役割が理解しやすくなります。
マーケティングとは
「マーケティング」の定義は様々ですが、近代マーケティングの第一人者であるアメリカの経営学者フィリップ・コトラー教授による定義では、「ニーズに応えて利益を上げること」とされています。
つまり、消費者のニーズ理解、そのニーズを満たすための製品やサービス開発、それを顧客に届けるためのコミュニケーション、それらを通した利益創出という一連の企業活動を全てひっくるめてマーケティングだということです。
広告やプロモーションなど狭義でのマーケティングという言葉が使われることも多いですが、企業が利益を生み出すためのより広い概念だととらえることでその重要性が再認識できます。
コンサルタントとは
「コンサルタント」とは、クライアントの事業課題や経営課題の解決を支援する役割です。場合によってはクライアント自身がその課題を明確に把握していないケースもあります。そのため、コンサルタントは現状分析による課題の抽出や課題の整理から課題の解決までを一手に担います。
外部のプロフェッショナルとして課題解決のための助言・提言を行い、実行までは行わないのが一般的ですが、中には現場での実行を伴うハンズオン型のコンサルタントもいます。
コンサルタントの業務形態は多岐にわたり、企業に所属する専門のコンサルタントや個人で活動するフリーランスのコンサルタントなどがいます。
マーケティングコンサルタントの役割
上記の「マーケティング」「コンサルタント」それぞれの定義を見てきてわかる通り、「マーケティングコンサルタント」とは、マーケティングに関する企業の課題解決を支援する役割です。
上述の通り、マーケティングとは非常に範囲の広い概念であるため、マーケティングコンサルタントが対象とする課題の領域も、消費者のニーズ把握から、製品開発、価格設定、プロモーション、顧客コミュニケーションなど多岐に渡ります。
その多岐にわたる領域の中でも、クライアントが利益を生み出す上でのボトルネックとなっているマーケティング課題を特定し、それを解決していく方法を助言、提言していくのがマーケティングコンサルタントの役割だと言えます。
例えば、自社が展開している製品やサービスが顧客のニーズに適していなければ、ニーズを再調査して製品の仕様を見直さなければなりません。仮に製品が顧客のニーズに応える優れた製品であっても、顧客の認知度が低く、商品を手に取ってもらうことができなければ売り上げは生み出されません。そのような場合には顧客コミュニケーションやプロモーション上の課題を特定し解決を図ります。
マーケティングコンサルタントに依頼できる業務
マーケティングコンサルタントに依頼できる業務は、大きく以下の4つに分けることができます。
- 市場調査の実施と戦略企画の策定
- 施策の立案・実施
- 効果検証と改善
- デジタルマーケティング戦略の策定と実行
市場調査の実施と戦略の策定
前述のようにマーケティングが「ニーズに応えて利益を上げること」だとすると、消費者のニーズを理解していなければマーケティングは始まりません。
消費者のニーズを理解するための市場調査には、アンケート調査や購買データの分析など定量的な調査とインタビューなどの定性的な調査があり、いずれの調査であっても専門的なスキルがないと効果的な調査実施は困難です。
調査結果の分析から、消費者のニーズを把握し、マーケティング戦略を立案するプロセスももちろん専門的なスキルや経験を必要とします。
施策の立案・実施
どんなに高尚なマーケティング戦略が構築されても、顧客へのコミュニケーションに失敗すれば製品やサービスの価値を認識してもらうことは難しく、利益を生み出すことはできません。最終的な顧客接点でのコミュニケーションこそがマーケティングで最重要だとも考えられます。
その意味で、施策の立案や実行も、経験が豊富なマーケティングコンサルタントの知見を活用すべき業務だと言えます。
効果検証と改善
上記のプロセスで戦略を立案し、施策を実行した後には、効果の検証が必要となります。マーケティング活動を成功させるためには、施策の効果を正しく検証してPDCAを回しながら改善を続けていく必要があります。この効果検証が誤っていると、マーケティング活動が間違った方向に進む可能性もあります。
しかし、マーケティング施策の効果検証は容易でないことも多く、場合によっては高度なデータ分析が必要となることもあります。
こういった高度な分析を伴う効果検証などもまた、マーケティングコンサルタントが活躍する場面の一つと考えられます。
デジタルマーケティング戦略の策定と実行
近年では企業の顧客接点がどんどんとデジタルメディアに移行しており、マーケティング戦略立案や施策の実行においてもデジタルマーケティングを無視することはできなくなっています。
しかし、デジタルマーケティングの世界は変化も激しく、どんどんと新しい手法が生まれ続けています。社内のマーケティングチームだけでそのトレンドにキャッチアップし続けるのは容易ではないため、デジタルマーケティングの各領域を専門とするマーケティングコンサルタントの登用が効果的です。
Web広告、SEO、SNS活用、アプリ活用、顧客データ活用などデジタルマーケティングの各領域に特化したマーケティングコンサルタントもいるので、自社が特に必要とする領域のプロフェッショナルの知見を活用するとよいでしょう。
企業がマーケティングコンサルタントに依頼をするメリット
企業がマーケティングコンサルタントに業務を依頼するメリットは、以下の5つです。
- 採用・育成コストを削減できる
- 効率的な売上向上を実現できる
- 客観的な意見を得られる
- リソース不足を解消できる
採用・育成コストを削減できる
効果的なマーケティング戦略の構築・実行ができるマーケティング人材を自社で育成するには多くの時間を要します。また、前述の通りデジタルマーケティングのチャネルや手法はどんどんと増えており、その各領域の情報をキャッチアップし、それに精通した人材を社内で育成するのは非常に困難です。
採用をするにしても、ハイスキルなマーケティング人材は多くの企業で必要とされており、採用は容易ではありません。年収も高額になることが想定されます。
そこで、マーケティング領域で長年の経験を積んできたマーケティングコンサルタントに依頼をすることで、育成コストをかけずに即戦力としてのコンサルタントを迎え入れることができます。またコストの面でも、一時的なコストとすることで、採用ほどのコストをかけずに登用することが可能です。
効率的な売上向上を期待できる
マーケティングコンサルタントに依頼することで、効率的な売上アップが期待できます。
マーケティング戦略や実際の施策は、PDCAサイクルを繰り返すことで最適解に辿り着くことが多いです。しかし、それには時間がかかるという問題点があります。
マーケティングコンサルタントに依頼すれば、プロとしての知見や経験を活用し、PDCAの繰り返しをショートカットしてすぐに最適解に辿り着けるケースがあります。
客観的な意見を得られる
企業によっては、従来のやり方にこだわることで斬新なマーケティング施策を実施できないといった問題を抱えていることもあります。
社内でマーケティング活動を行うと、企業内部の観点でしか戦略を判断できなくなることがあります。そのような際に、第三者目線で客観的な意見を提供できる外部のマーケティングコンサルタントを活用するのが効果的です。
既存のマーケティング施策の効果が薄まり、打開策が見出せないと言う場合などには、外部の視点を持ち込むのがおすすめです。
リソース不足を解消できる
ただでさえマーケティング業務は守備範囲が広いにも関わらず、どんどんと新しいマーケティング手法やマーケティングチャネルが増え続けており、慢性的なリソース不足を抱えるマーケティング組織は少なくないでしょう。
マーケティングコンサルタントに依頼をすることで、その経験をもとにした効率的なマーケティング施策の実行方法を提案してもらうこともできるでしょう。近年ではマーケティングオートメーションツールの導入やマーケティングでのAI活用なども進んでいるため、そういった領域に知見があるマーケターに業務効率化の相談をしてみるのも良いでしょう。
マーケティングコンサルタント選びのポイントと費用
マーケティングコンサルタントを選ぶ際は、主に以下の3つの依頼先の中から選ぶことになります。その際は、費用やサービス内容が自社の目的に合っているかを検討して選ぶことが大切です。
- コンサルティング会社
- マーケティング支援会社
- 個人のコンサルタント
コンサルティング会社
専門知識と技術を持った人材がいるコンサルティング会社では、取引先に大手企業が多く、費用も数百万円から億単位まで高額の依頼となるケースが多いです。小規模事業者にとっては、コスト負担が大きくなりすぎる可能性が高いです。
主な業務内容は大規模なプロジェクトや企業のマーケティング戦略の見直しであり、短期間の契約でも1,000万円以上の費用がかかることがあります。しかし、コストが高い一方で、以下のようなサービスが期待できるのも、コンサルティング会社の特徴です。
- 経営レベルでの抽象度や複雑性の高い課題の整理
- 勘や経験則に頼らない、科学的・定量的なアプローチ
マーケティングの根幹となる戦略の策定や、大規模プロジェクトでの重要な意思決定の場面などに活用するのが適していると考えられます。
マーケティング支援会社/広告代理店
マーケティング支援会社や広告代理店は、マーケティング領域に特化したコンサルティングを行っており、マーケティング施策の実行まで対応が可能です。
総合型の広告代理店のように、マーケティング課題全般を取り扱えるケースもありますが、ブランディングや広告、CRMなどのように、マーケティングの特定領域に強みを持つ企業も多いので、課題が絞り込まれているケースなどに向いています。
費用相場は包括的なサポートを進めるコンサルティング会社よりも、比較的低めで、月額数十万円から数百万円程度が相場です。広告代理店の場合は広告出稿額に一定%を乗じた手数料がかかるケースもあります。
個人のコンサルタント
上記2種に比べると、リソースの問題で対応できる範囲が限定的なので、より課題が絞り込まれている時に適しています。
費用は安い場合は月5万円以下、高くても100万円程度におさまることが多いですが、単価はその方の経験やスキルレベルにもよりますのでばらつきがあります。
コンサルタントの一存で動き方が決定できるので、施策をスピーディーに切り替えていくなど柔軟な対応を求める場合にも適した依頼先です。
ただし、実力もコンサルタント次第でバラバラなので、契約先を慎重に見極める必要があります。
個人のマーケティングコンサルタントに依頼できるサービス
Anycrew
Anycrewは仕事での人脈をもとにしたフリーランス・副業マッチングサービスです。人材のスカウトや、募集案件の投稿はAnycrewのプラットフォーム上で無料で行うことができ、単発の作業の依頼なども可能です。また、マーケティング経験豊富なエージェントと相談し、人材の紹介を代行してもらうことも可能です。登録されているフリーランス・副業人材の職種は幅広いですが、副業マーケター(特にWebマーケター、デジタルマーケター)の割合が高くなっています。
ミエルカコネクト
Webマーケター専門の業務委託マッチングサービスです。WEBマーケ支援ツール「ミエルカ」を提供する株式会社FaberCompanyが運営しており、その知見を活かした人材の審査・紹介が行われる点が魅力です。
Kaikoku
マーケティング・クリエイティブ人材のための複業マッチングサービスです。事前面談、独自のスキル診断を通過した副業人材の中からニーズにあった複業人材を紹介してもらうことが可能です。デジタルマーケティング経験豊富な事務局によるサポートも受けることができます。
HighClass
非エンジニア領域のフリーランス人材紹介サービスです。取締役・事業部長クラスなど、即戦力となるハイレベルなフリーランス人材に週1日からの柔軟な稼働量で業務を委託することが可能です。
プロの副業
マーケター、人事、新規事業開発、広報・PR、営業、エンジニアなど経営課題にあったハイスペックなプロ人材を業務委託で紹介するエージェントサービスです。登録されている副業人材は、企業で中軸として活躍している30代・40代の人材が中心です。
まとめ
本記事では、マーケティングコンサルタントに依頼するメリットや、依頼可能な業務内容についてご紹介しました。
専門のコンサルタントにマーケティング支援を依頼することで、人的リソースに余裕が生まれ、そこから本来注力すべき業務に集中できます。結果、会社の利益向上につながるケースも考えられます。
しかし、企業の規模や依頼する目的によってマーケティングコンサルタントへの依頼費用は大きく変動します。方向性を誤ったマーケティング施策では、コストが重なるだけで結果が伴いません。
そのため、マーケティングコンサルタントに依頼を検討する際は、マーケティングの目的や方針を明確にすることをおすすめします。
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Anycrewエージェントなら、経験豊富なフリーランス・副業人材をマーケティングコンサルタントとしてご紹介可能です。
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Anycrewの特徴
- 最低発注期間や最低発注金額の制限はなし。柔軟な人材の登用が可能。
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