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企業での人事業務の経験が長い方の中には「人事部門で培った経験やスキルを活かし、人事コンサルタントとして独立したい」と考える方も多いのではないでしょうか。
本記事では、人事コンサルタントの独立を成功させるポイントについて解説していきます。また、人事コンサルタントに必要なスキルや、独立のメリット・デメリットも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
人事コンサルタントとは?
人事コンサルタントとは、組織や企業の人事課題を解決する専門家です。
人事コンサルタントのコンサルティングの対象としては以下が挙げられています。
- 人材採用
- 組織開発(意識や風土の改革)
- 人事開発(能力開発、人材育成)
- 人事制度・給与等の制度設計 など
就業形態は、人事コンサルティング企業の正社員として、クライアントの人事課題を解決するケースが多いと考えられますが、厚生労働省の職業情報提供サイトjobtagによればフリーランスの人事コンサルタントも全体の3割程度で存在しているということです。
参照:厚生労働省 職業情報提供サイトjobtag 人事コンサルタント
人事コンサルタントとして独立するメリットとデメリット
人事コンサルタントとして独立するメリットは、以下の通りです。
- 自由度が高い
- 実績次第では高収入が見込める
- 専門性を活かした多様な案件に携われる
一方、以下のようなデメリットもあります。
- 収入が不安定
- 経理や営業など、人事以外の業務もしなければいけない
- クライアント獲得が難しい
独立はデメリットがあるものの、裁量が大きくなることで、仕事にやりがいを感じられるようになります。向き・不向きを考え、自分に合ったワークスタイルを選択していきましょう。
人事として独立するのに必要な経験とスキル
人事コンサルタントとして独立するには、以下のような経験とスキルが求められます。
- 人事実務の経験
- 専門分野の知識
- プロジェクトマネジメント能力
- データ分析スキル
- 情報収集・ネットワーク構築力
人事実務の経験
人事コンサルタントとして独立するには当然、人事実務の経験が重要となります。
コンサルタントとして企業を支援する際には、アドバイスや提案といった役割が中心となり、人事業務の実務面はクライアントの担当者が行うということも多いでしょう。
しかし、現場での実務経験を伴わない机上の空論のようなアドバイスでは、クライアントの信頼を得ることは難しく人事課題の解決もできません。
人事はモノではなくヒトを扱う業務で、ロジックだけでは解決できないことも少なくありません。だからこそ、ロジックだけでなく、現場でのリアルな経験に裏打ちされたアドバイスが求められます。
専門分野の知識
人事コンサルタントとして独立する際、人事領域の幅広い経験を備えつつも、特定の専門分野があることが強みになります。
例えば以下のようなイメージです。
- 人材業界の営業組織の評価制度設計が得意
- 新卒採用の母集団形成につながる短期インターンの設計が得意
- ビジネスSNSを用いた採用広報が得意
専門分野をもつことのメリットは、以下の2つです。
- 特化することで、他と差別化できる
- 希少性が高くなり、より高い報酬を得られる
ただし、専門分野に固執しすぎず、関連領域にも目を向けることが重要です。まずは、自身の強みを活かした得意領域で仕事を獲得しつつ、関連する領域の業務も拾っていくようにして仕事の幅を広げていきましょう。
プロジェクトマネジメント能力
プロジェクトマネジメント能力も、人事コンサルタントに必要なスキルです。
人事課題には抽象的なものも多く、対象範囲や関係者がどんどんと膨張していったり、期待が際限なく高まっていくということもあります。
また、人事は企業全体に影響を及ぼす機能であり、人事制度改革のようなプロジェクトでは、ステークホルダーは会社全体に及びます。
そのような中で、プロジェクトのゴールやスコープ、スケジュールなどを明確にして、限られたリソースの中でプロジェクトを推進していく力が求められます。
特にフリーランスの場合、そういったプロジェクトを複数同時に進行することもあるので、タスクやスケジュール管理を綿密に行う必要があります。
データ分析スキル
データ分析スキルも、人事コンサルタントに必要な能力です。
近年では、クラウドツールの普及もあり、社員のエンゲージメントやパフォーマンスなど人事に活かせる定量的なデータの取得が行いやすくなっており、人事戦略を検討する上で定量的な分析能力は欠かせないものとなっています。
現場で得られる定性的な感覚を大事にしつつも、定量的なデータで裏付けをすることで、提案の説得力が増し、クライアントからの信頼度も上がります。
情報収集・ネットワーク構築力
業界知識とネットワーク構築も、人事コンサルタントに重要なスキルです。最新のトレンドや法改正といった、クライアントに価値ある情報を収集できるようにしましょう。
また、異業種交流会や勉強会に積極的に参加し、他社や他業界の事例を知ることで、アイディアの幅が広がります。
SNSを活用した情報収集や情報発信も効果的です。専門性の高い投稿を続けることで、新規クライアントの獲得にもつながります。
人事コンサルタントの独立を成功させるポイント
人事コンサルタントの独立を成功させるポイントは、以下の通りです。
- 実務で専門性を身につける
- 副業で人事コンサルタントをする
- サービス形態を決める
- マーケティングと営業を行う
- クライアント信頼関係を構築する
実務で専門性を身につける
前述の通り、人事コンサルタントとして独立するには、実務経験を通じて専門性を磨いていくことが重要です。
その中でも採用、制度設計、研修など、特定の分野に特化することで、他のコンサルタントとの差別化を図れます。
例えば、採用分野なら、特定の業界での採用実績を積み、最新の採用手法に精通していることは強みになります。
希少価値の高いコンサルタントになるためにも、自分の名刺となる専門性を磨いていきましょう。
副業で人事コンサルタントをする
「本当に独立できるのか?」と心配している人は、副業で人事コンサルタントをするのもおすすめです。
いきなり退職をしてフリーランスになるのではなく、正社員として働きながら週10時間など無理のない範囲で他社に参画することで、リスクをおさえつつも、独立を具体的にイメージできます。人事コンサルタントへの適性を、独立前に確認したい時にも有効です。
Anycrewでは、人事の副業人材・フリーランスの募集を行なっております。週10時間未満の稼働でも参画できるような人事案件も掲載をしているので、ぜひ案件をチェックしてみてください。
サービス形態を決める
提供するサービスの具体的な内容と、それに見合った料金設定を考えましょう。例えば、採用コンサルティングなら、成功報酬や月額顧問料などを設定します。
料金は、経験や専門性、市場相場を考慮して決定します。クライアントのニーズに合わせてカスタマイズできる柔軟なサービス体系を用意すると、受注の幅が広がるでしょう。
「自分の強みは何か?」「どんな価値を提供できるのか?」「他社はどんな料金体系か?」を深く掘り下げ、独自性のあるサービスを提供していくのがおすすめです。
マーケティングと営業を行う
マーケティングと営業も、独立を成功させるのに大切なポイントです。
「採用に悩む中小企業」や「組織改革を目指す成長企業」など、自分の専門性を活かしたターゲットを設定して、それにあった適切な訴求をしていくことが仕事を獲得するポイントです。
マーケティングや営業のチャネルは様々ですが、人脈を活かした紹介営業やオンラインセミナーの開催、業界イベントへの参加なども、新規顧客獲得の良い機会となるでしょう。 営業活動は地道な努力が実を結ぶため、諦めないことが重要です。
また「採用のプロ」や「組織改革のスペシャリスト」といったブランディングを行い、SNSやブログを活用して情報を発信することで、潜在顧客との接点を作ることも中長期的なクライアント獲得につながります。
クライアントと信頼関係を構築する
信頼関係を構築し、クライアントの長期的なパートナーとなることも重要です。
信頼関係を構築するためには、依頼された業務をしっかりとこなすことはもちろん、積極的に自己開示をしてなんでも話せる関係性を作っていくことも大切です。人事の課題には周りに相談しにくい内容も多々あります。そう言った話も腹を割って相談してもらえるような関係性づくりを目指しましょう。
人事として独立する際に意識しておきたいこと
人事として独立する際は、以下の点を意識しておきましょう。
- 収入を安定させる
- 健康管理を徹底する
- 契約トラブルを予防する
収入を安定させる
フリーランスの人事コンサルタントは、会社員と比べると、収入が不安定になりがちです。そのため、以下のような対策をとる必要があります。
- クライアントを複数確保する
- スキルアップを行う
- 貯金をする
収入を安定させるためにも、長期契約できるクライアントと仕事するのがおすすめです。また、自己投資として、関連資格の取得やセミナー参加といったスキルアップも、収入を上げるために欠かせません。
また、収入は案件の有無によって変動するため、最低でも半年分の生活費を貯めておくことをおすすめします。独立直後は案件獲得に時間がかかることもあります。独立前に収支計画を立て、必要な貯金額を具体的に算出しておくと安心でしょう。
健康管理を徹底する
人事コンサルタントにとって、健康管理も重要です。なぜなら人事コンサルタントにとって自分自身の体こそが収入を生み出す最も重要な資産だからです。
健康には、休息時間の確保が必要不可欠です。「週に1日は完全オフ」「午後20時以降は電話に出ない」など、自分なりのルールを設けるといいでしょう。適度な運動や趣味の時間は、創造性を高め、仕事の質向上にもつながります。
日頃の体調管理を徹底し、持続可能なキャリアを築いていきましょう。
契約トラブルを予防する
トラブルが起きないよう、業務内容や期間、報酬などを明確に記載した、契約書を作成しましょう。
また、クライアントとの密なコミュニケーションも重要です。進捗状況や課題を定期的に共有することで、認識のズレを防ぎます。万が一、トラブルが発生した場合は冷静に対応し、事実関係を整理していくのが得策です。
必要に応じて、契約書の確認やトラブル対応などは法律の専門家に相談しましょう。
まとめ
本記事では、人事コンサルタントの独立を成功させるポイントについて解説しました。
人事コンサルタントは、単なるアドバイザーではなく、企業と共に成長するパートナーになることが大切です。自己研鑽を継続し、希少価値を高めていきましょう。