近年、日本社会では労働人口の減少が問題となっており、多くの企業から採用に悩む声が聞かれています。
その対策として注目されているのが外部人材の活用です。自社の人材だけでは困難な業務を外部人材の力を借りて成果を上げる事例が増えています。
この記事では、社内の人手不足に困っている企業経営者や、専門的な知識を持った人材を探している担当者の方のために、外部人材を効果的に活用して事業を活性化する方法を解説します。
外部人材を用いるメリット・デメリットや、自社が求める外部人材をどのように確保すればいいのかがわかりますので、ぜひ最後までお読みください。
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目次
外部人材とは?
経済産業省では、外部人材を「特定の企業や団体、組織に専従しない独立した形態で、自身の専門知識やスキルを提供して対価を得る人」として定義しています。
企業と業務委託契約を締結して特定領域の専門能力を発揮することで、企業が自社だけではできなかった業務を行うことが多いようです。
法人や個人事業主として活動をしているフリーランスのような人のほか、特定の企業の従業員として働きながら副業として他の企業の業務を行う人も含まれます。
外部人材を必要とする企業が増加
外部人材を必要とする大きな要因は、企業の人手不足です。
少子高齢化の影響により、日本社会全体で労働人口の減少が進んでいます。そのため慢性的な人手不足が続いており、多くの企業では思うように人材採用ができていません。
そこで、特に自社で採用が難しく、専門的な高い能力が必要な業務に関して、外部の人材に参加してもらって成果を上げようとする気運が高まっているのです。
また、プロジェクト型の業務形態が広がっていることも影響しています。必要な人材は自社社員だけにこだわらず、必要な能力を持った人を広く外部からも集めてチームを形成するケースが増えてきています。
その他にも、コロナ禍でリモートワークが進んだことで、企業側にリモートワークを受け入れる体制が整い、専門領域で高いスキルがある人材が、時間や場所の制約を越えて企業に能力を提供しやすくなったことも、外部人材を活用する企業が増えた理由のひとつです。
外部人材を活用できる場面
外部人材を活用するには「どの業務に」「どういった形で参画してもらうか」を明確にしておかなければなりません。
そのためには、自社の業務を詳細に洗い出し、今抱えている課題を分析する必要があります。その際には企業の根幹となる「コア業務」がなんなのかという観点から、課題解決の方向を探っていくことが重要です。
コア業務を推進していくうえで妨げになっているボトルネックを抽出し、解決の道筋を検討して、そこに必要な人材を明らかにしていきます。
外部人材を活用するメリット
外部人材を活用することで、下記のようなメリットが得られます。
- 人手不足の解消
- 専門性の高い人材を確保できる
- 必要なタイミングで確保できる
- 客観的な意見を得られる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
人手不足の解消
人手不足を解消するために、従業員の採用を考える企業が多いでしょう。しかし、人材確保はどの企業にとっても大きな課題となっており、獲得競争は激しくなっています。
自社採用では採用までに時間やコストがかかり、採用できたとしても即戦力として使えるとは限りません。
適切な外部人材をうまく活用できれば、人手不足の状態を解消し、スムーズに業務を推進できるようになります。
専門性の高い人材を確保できる
さまざまなプロジェクトに参画する外部人材は、高い専門性をもっており、その能力を発揮することで依頼した企業の課題を解決しています。
社内にそうした能力をもった人材がいない場合や、社内の他の業務で忙しくリソースをさけない場合などには、外部人材を活用するのが効果的です。
必要なタイミングで確保できる
外部人材は期間を設定して契約できます。そのため、自社にとって必要なタイミングでスポット的に参画してもらうことが可能です。
即戦力となる能力をもった人材を、重要な時期に絞って投入できれば、限られたコストでも大きな成果につながると期待できます。
客観的な意見を得られる
経験豊富な外部人材は、これまでにさまざまな案件に関わってきており、専門家としての知見を蓄えているケースが多いでしょう。
自社の課題に対しても、こうした視点から客観的なアドバイスを受けることができます。従業員では言いにくいことも、外部人材であれば第三者的な立場から意見を出せるというのも大きなメリットです。
外部人材を活用するデメリット
外部人材の活用はいいことだけではありません。下記のようなデメリットが考えられます。
- 業務整理をする必要がある
- 社内にノウハウを蓄積しにくい
- 社内情報漏洩のリスクがある
業務整理をする必要がある
外部人材に業務を依頼する際には、事前に業務を詳細に洗い出し、どの業務を委託して、どの業務を内製すればよいのかなどを明確にしておく必要があります。
抜け漏れなく業務の整理をするには、それなりに時間をかけて行わなければならず、忙しい状態からさらに時間を確保しなければなりません。
社内にノウハウを蓄積しにくい
外部人材に業務を頼りきってしまうと、社内にノウハウが蓄積できません。また、その社外人材が急にいなくなった場合などには、大きな支障が出ることになります。社外人材が携わる業務は、企業にとっても重要なプロジェクトであることが多いです。社外人材に頼りきりになるリスクを軽減するためにも、自社のメンバーの育成も同時に行ったり、社外人材をマネージャーポジションにつけて、自社メンバーが行う業務を監督してもらったりする工夫が必要です。
社内情報漏洩のリスクがある
社外人材に業務を依頼する場合には、従業員と同様に社内情報にアクセスできるケースもあるでしょう。また、問題解決のために自社が抱える大きな問題や顧客の情報を共有することがあるかもしれません。
そうした社内情報が万が一漏洩すると、大きな問題に発展するリスクがあります。社外人材に業務を依頼する前に、守秘義務契約を交わすなど、十分な対策をしておく必要があります。
外部人材を効果的に活用する上で気をつけること
外部人材活用の効果を高めるために重要なことは、依頼する業務の目的や背景、制約条件などを明確にしてからスタートすることです。
達成すべき目標や業務分担が曖昧なまま業務に着手すると、外部人材の効果は十分に発揮されず、単に作業者としての役割しか果たせないこともあるので注意しましょう。
また、一定期間ごとに成果をチェックし、効果が上がっているかどうかを確認しながらプロジェクトを進めていくことがおすすめです。
外部人材を活用した成功事例
千葉県にある従業員50名ほどの食品卸業の会社では、経営者の目線で組織の課題を解決する人材を求めていました。
社長自身は、課題があるのはわかっているものの、目の前の業務に追われて、なかなか取り組めずにいたのです。特に、従業員の育成と定着に頭を悩ませていました。
そこで、大手の人材コンサルティング会社に勤めている人材に、副業で参画してもらうことにします。
新たな取り組みとして、社内スタッフに対するアンケートや1on1ミーティングを実施し、従業員の声を取り入れる機会を設けました。
外部人材を活用し始めてからは、離職者がゼロになり、従業員満足度もアップする結果を得られています。参照:経済産業省 関東経済産業局「外部人材活用ガイダンス」
自社に必要な外部人材を探す方法
外部人材を求める企業が拡大し、フリーランスや副業として業務を行いたい人材も急増していることから外部人材を獲得するチャネルは広がっています。
具体的には、下記のような方法を使って外部人材を探すケースが多いようです。
- クラウドソーシングサービス
- 外部人材マッチングサービス
- 知り合いからの紹介
- 各種SNSなどから連絡
さまざまな特徴をもったクラウドソーシングサービスや人材マッチングサービスサービスがありますので、サイトを確認し情報を集めていくとよいでしょう。
まとめ
ここまで外部人材の活用について紹介しました。自社の課題解決のために、社内ではなかなか採用や育成が難しい人材を、外部から登用して活用に成功する事例が増えています。
豊富な経験と高いスキルをタイミングよく活用できれば、これまで人手不足で滞っていた企画や業務の改革がスムーズに進む可能性があります。