【9選】スタートアップの資金調達でよくある失敗!ラウンドシリーズまで徹底解説

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【9選】スタートアップの資金調達でよくある失敗!ラウンドシリーズまで徹底解説

「スタートアップの資金調達でよくある失敗ってどんな内容?やり方を間違えると取り返しがつかないって聞いたけど本当?」

スタートアップの資金調達は、事業成長のカギを握る重要なステップ。

成長スピードを加速できる手段である一方で、中には「経営権を失った」「失敗して会社が傾いた」などの声があるのも事実。

そこで今回は「スタートアップの資金調達でよくある失敗」を徹底解説します。

本記事では、各ラウンドシリーズの特徴や注意点まで解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。

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目次


スタートアップの資金調達でよくある失敗

スタートアップの資金調達は、事業の命運を左右する重要なプロセスです。成功すれば成長の加速に直結しますが、一方で準備不足や戦略ミスによって大きな損失を生むケースも少なくありません。

なので、スタートアップの資金調達でよくある失敗をまとめていきます。

  • 経営権を希薄化し過ぎる
  • タイミングが早すぎて実績不足
  • 金商法や出資法に抵触してしまう
  • 資金使途が不明確または曖昧である
  • バリュエーションが不適切に高すぎる
  • 説明資料(ピッチ資料)の完成度が低い
  • 投資家のニーズを理解せずにアプローチする
  • 実現可能性の低い事業計画で資金調達を試みる
  • 1社依存のリスクを無視したプラン設計になっている

順番に見ていきましょう。

よくある失敗①:経営権を希薄化し過ぎる

創業初期に資金を確保しようとするあまり、大きな持株比率を外部に譲渡してしまう例が多く見られます。

一見すると資金を得る代償として合理的に思えますが、創業者の意思決定権が著しく低下し、経営の柔軟性が損なわれる要因になります。出資比率が50%を切ると、株主総会の決議や取締役の構成にまで影響が及ぶ可能性があるため注意が必要です。

また、後続の資金調達ラウンドでさらなる希薄化が発生することを考慮すると、シードラウンドから慎重に設計すべきです。VCの中には、創業者の持株比率が一定水準を下回る場合、ガバナンス上の懸念を理由に出資を見送るケースもあります。

事業の成長と創業者の影響力を両立させるためには、初期段階からストックオプションやクラウドファンディングの活用なども視野に入れた資本政策が必要となるでしょう。

よくある失敗②:タイミングが早すぎて実績不足

アイデア段階で資金調達に動き出すと、十分な事業実績が伴っていないため、説得力に欠けることが多くなります。

VCやエンジェル投資家は「実際にユーザーがいるか」「収益が立っているか」「再現性があるか」といった具体的な指標を重視する傾向があります。

また、早期に調達を行うことでバリュエーションの根拠が乏しくなり、結果的に割安な条件で株式を手放す事態にも繋がります。資金を得ても、その後の成長に必要な投資タイミングとズレが生じることで、経営が不安定になる可能性もあります。

まずはプロダクトの検証や初期顧客の獲得など、一定の成果を積み重ねた上で、適切なステージで資金調達を行うのが好ましいでしょう。

よくある失敗③:金商法や出資法に抵触してしまう

資金調達を行う際には、金融商品取引法(いわゆる金商法)や出資法などの法律に十分注意を払う必要があります。

例えば、登録のない法人や個人が不特定多数から出資を募る行為は、金商法上の「無登録営業」に該当する可能性があります。金融庁は過去にこうした違反に対し、業務停止命令や刑事告発を行った事例が複数存在します。未公開株の勧誘に関しては、法的リスクが極めて高い分野です。

また、出資法は「元本保証のうえで高配当を約束する行為」を禁じており、資金調達時にリターンを強調しすぎた説明が法令違反にあたるケースもあります。投資契約書の作成や募集方法に関しては、必ず専門家の確認を受けるべきです。

法令違反は、事業停止だけでなく社会的信頼の失墜にも直結するため、事前の調査と法務体制の整備は欠かせません。

よくある失敗④:資金使途が不明確または曖昧である

資金を何に使うのか明確に説明できないと、投資家から信頼を大きく損ないます。

多くのスタートアップが「マーケティング費」「開発コスト」「人材強化」などの表現にとどまり、具体的な内訳や優先順位が示されていません。例えば、「広告運用に月30万円を半年間継続し、CVR3%以上を目指す」など、数値と期間を伴った計画が提示されていないと、使途の妥当性を判断することができません。

また、資金の使用目的が短期的な売上対策に偏っている場合、長期的な成長につながらないと評価される可能性も。投資家は「その資金がどのように利益につながるのか」「次のステージへの布石となるか」といった視点で資金使途をチェックしています。

資金の透明性を担保するためにも、使途ごとのKPIを明示し、定期的な進捗報告のフレームも含めて提案することが大切です。

よくある失敗⑤:バリュエーションが不適切に高すぎる

期待感だけで高すぎる評価額(バリュエーション)を提示してしまうと、資金調達の段階で投資家からの信頼を損なうだけでなく、将来的な資本政策にも大きな悪影響を及ぼすことになります。

市場や業界水準と比較して妥当性があるか、過去の資金調達実績との整合性が取れているかなど、複数の視点で算出する必要があります。売上やユーザー数などのトラクションが少ない段階では、将来の成長可能性よりも、現時点での実績ベースの評価を重視する投資家が多いため、現実的な水準に設定しなければなりません。

仮に高すぎるバリュエーションで資金を集めることができたとしても、次回の調達時に期待を上回る成果を出せなければ、ダウンラウンド(前回より低い評価額での調達)となり、投資家離れや創業者株の希薄化を招く原因になります。

よくある失敗⑥:説明資料(ピッチ資料)の完成度が低い

資金調達の場において、ピッチ資料は企業の第一印象を左右する極めて重要な要素です。

内容が抽象的すぎたり、構成が煩雑だったりすると、どれだけ魅力的な事業であっても伝わらないまま終わってしまいます。スライドの中で「課題」「解決方法」「市場規模」「競合優位性」「ビジネスモデル」「チーム構成」「資金使途」などの要素が抜けていると、投資家は全体像を掴むことができません。

また、グラフや図表など視覚的に理解を助ける資料が不足していると、説得力が弱まります。ピッチの時間は10〜15分程度が一般的なため、簡潔で的確に要点を伝える資料構成が必須です。

国内外の投資家が注目するスタートアップでは、NotionやFigmaを用いたインタラクティブな資料も増えており、表現力の高さも一つの評価軸となっています。内容だけでなくデザインや構成にも工夫が必要です。

よくある失敗⑦:投資家のニーズを理解せずにアプローチする

投資家にはそれぞれ投資方針やステージの好み、重視するポイントがあり、それを理解しないまま提案しても響くことはありません。

例えば、初期フェーズに強いエンジェル投資家やシードVCに対してシリーズB以降向けの大規模案件を提示しても、当然ながら対象外となります。また、社会課題解決型の投資を行うインパクト投資家に対して、単なる収益追求型のビジネスモデルを提案しても共感は得られません。

投資家ごとに過去の投資先、注目している業界、出資条件などを事前にリサーチし、それに沿ったストーリーで構成することが重要です。

テンプレート的なピッチではなく、「なぜこの投資家に話しているのか」という文脈を持たせることで、より深い興味を引き出すことが可能となるでしょう。

よくある失敗⑧:実現可能性の低い事業計画で資金調達を試みる

アイデアがユニークであることは重要ですが、それだけでは資金調達の成功には繋がりません。

事業計画において投資家が重視するのは、ビジネスとして成立するかどうか、スケーラビリティがあるか、再現性があるかといった点です。技術的に不確かな要素が多かったり、顧客ニーズの検証が不十分である場合、信頼性の低い計画と見なされます。

さらに、5年間で数十億円の売上を見込むといった、過剰に楽観的な収支予測は、かえって説得力を下げる原因になります。実際に成功しているスタートアップの多くは、地に足の着いた収益モデルや成長戦略を提示しています。

計画には、仮説検証のプロセス、ユーザー獲得戦略、単価設定、LTV/CACなどを含め、現実的かつ具体的な裏付けが必要です。

よくある失敗⑨:1社依存のリスクを無視したプラン設計になっている

売上や取引先が特定の1社に依存している状態は、事業の健全性を大きく損ないます。

特にBtoB型のビジネスモデルでは、1社との契約が収益の大半を占めている場合、その企業との取引が終了した瞬間に事業が成り立たなくなるリスクを抱えることになります。これは投資家にとって極めて大きな懸念材料です。

また、特定の企業との深い関係性に依存しすぎると、価格交渉力の低下や開発方針の拘束といった問題も生じやすくなります。資金調達前には、顧客の構成比率や依存度を数値で示し、リスクヘッジ策を明確にしておくことが不可欠です。

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資金調達で失敗しないためにラウンドシリーズを理解しておこう

スタートアップの成長において、「資金調達のラウンドシリーズ」は極めて重要なステップです。事業のフェーズごとに最適な調達手段と出資者が異なるため、それぞれの特徴や目的を正しく理解しておく必要があります。

なので、最後に資金調達における代表的なラウンドシリーズを順番に解説します。

  • プレシード(Pre-Seed)
  • シード(Seed)
  • アーリー(Series A)
  • ミドル(Series B)
  • レイター(Series C以降)
  • IPO(新規株式公開)
  • M&A(企業買収・合併)

順番に見ていきましょう。

ラウンドシリーズ①:プレシード(Pre-Seed)

プレシードは、事業の構想段階で行われる最も初期の資金調達です。

この段階では、まだプロダクトが存在しないか、最低限の検証版(プロトタイプ)しかない状態であることが一般的。調達先は創業者本人の貯金や家族・友人、または一部のエンジェル投資家に限られます。

目的は、アイデアの実現可能性を探るための初期費用や、共同創業者の確保、最低限の市場調査などに使われます。外部からの調達額としては、数百万円から高くても1,000万円未満が目安となるケースが多く、資本政策上ではコンバーティブルノートやSAFE(簡易型新株予約権)が使われる例もあります。

この段階で重要なのは、事業の将来性をどこまで論理的に説明できるか、そして創業チームの信頼性があるか、です。

ラウンドシリーズ②:シード(Seed)

シードは、プロダクトやサービスの構想がある程度形になった段階で行う初期の本格的な資金調達です。

スタートアップにとって最初の外部投資家からの資金を得るタイミングであり、事業の実現性をテストするために使われます。調達額の目安は、数千万円から1億円程度が一般的です。

投資家にはエンジェル、シードアクセラレーター、ベンチャーキャピタルの一部が含まれます。プロダクトマーケットフィット(PMF)の確認やユーザーの初期獲得などが主なKPIになります。

この段階での評価ポイントは、実際の利用者からの反応、仮説検証の過程、チーム構成、そして今後の事業成長への計画性です。

ラウンドシリーズ③:アーリー(Series A)

アーリーラウンドは、プロダクトやサービスが市場に浸透し始め、成長の兆しが見えた段階で行われます。

このフェーズでは、すでにユーザー数や売上の初期実績があることが前提です。プロダクトマーケットフィットをある程度確認した上で、スケールのための人材採用やマーケティング、開発強化に資金を投入します。

調達額は1億円〜5億円程度が目安とされ、出資元としてはシード期に続いてベンチャーキャピタルが中心になります。この段階では、定量的なKPIの成長率(たとえば月次売上成長率20%以上など)も投資判断材料になります。

また、ガバナンスや財務管理体制も重視され始め、外部からの取締役受け入れや内部統制の整備なども求められるようになります。

ラウンドシリーズ④:ミドル(Series B)

シリーズBは、すでに軌道に乗った事業をさらにスケールさせるための資金調達です。

このフェーズにおいては、明確な収益構造が確立されており、プロダクトの継続利用率やLTV、CACのバランスが投資判断に大きく影響します。事業が黒字化している場合もあり、評価額も10億円〜30億円以上に達することが多くなります。

投資家はミドル以降のVCや事業会社(CVC)が中心となり、出資額は5億円を超えるケースも珍しくありません。資金使途は、全国または海外展開、オフライン拠点の拡充、M&Aによる成長加速など多岐に渡ります。

同時に、組織マネジメントの強化も求められ、採用や人事制度、社内文化の整備が急務となる段階です。次のラウンドでのIPOまたは大型資金調達への布石として、事業の安定性と成長性の両立が必要となります。

ラウンドシリーズ⑤:レイター(Series C以降)

レイターステージは、上場やM&Aなどのエグジットを視野に入れた最終段階の資金調達フェーズです。

この段階では、すでに市場における一定の地位を築いており、売上が数十億円規模に達している企業もあります。調達額は10億円を超える規模となることが一般的で、機関投資家やPEファンド、大企業のCVCなどが主要な出資者となります。

調達の目的は、シェア拡大、グローバル展開、上場準備に伴う組織強化など。また、外部評価の目線もIPO基準に合わせて厳格化され、IR体制、監査制度、社内規定の整備が必須となります。

このフェーズでは、すでに財務諸表の信頼性やガバナンス体制が投資判断の中心であり、経営陣のビジョンや実行力よりも、企業としての完成度が重視される傾向にあります。

ラウンドシリーズ⑥:IPO・M&A

ラウンドシリーズの最終地点は、IPO(新規上場)またはM&A(事業売却)によるエグジットです。

IPOでは、証券取引所の上場基準をクリアし、一般投資家からの資金を得ることで、さらに大きな事業成長と社会的信頼を得ることができます。上場に向けては、数年に渡るガバナンス体制の強化、IR活動、監査法人や証券会社との連携が不可欠です。

一方、M&Aは他企業との合併・買収を通じて、成長戦略を実現する方法です。近年では、大手企業によるスタートアップ買収によるエグジット事例も増加しています。売却によって創業者や投資家が利益を確定することができ、次の事業へ再投資される流れも活性化しています。

いずれの手法も、事業の出口戦略として初期段階から意識しておくことが重要であり、資金調達のシリーズ全体を通じて一貫した戦略設計が重要です。

スタートアップの資金調達でよくある失敗:まとめ

スタートアップの資金調達は、成長を加速させる一方で多くの落とし穴も存在します。

経営権の希薄化や曖昧な資金使途など、よくある失敗は事前に知っておくことで十分に防げます。

各ラウンドシリーズの特徴を理解し、適切なタイミングと準備を整えることが成功のカギ。安易な判断は大きなリスクにつながるため、計画的に進めることが重要です。

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この記事の監修者

Anycrew Blog 編集部

フリーランス・複業・副業など個人で働く方と企業のマッチングプラットフォームAnycrewを開発するエニィクルー株式会社のメンバーです。

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