社外CFOインタビュー:社長の参謀として二人三脚で経営を推進。地方の有力企業こそ社外CFOの力でグロースができる(水野靖彦様)

外部人材活用

この記事のインタビュー対象者

本インタビュー記事と日本パートナーCFO協会について

この記事は社外CFO活用の意義や社外CFO活用による事業成長のポイントについてご紹介する目的で、一般社団法人日本パートナーCFO協会の協力のもと、その協会メンバーの皆様にインタビューを行い執筆をしております。

日本パートナーCFO協会は、中小ベンチャー企業での社外No.2、パートナーCFO®を広く一般に普及することを目的として、パートナーCFOの認定事業やパートナーCFO人材育成事業などを行っています。

社外CFOインタビュー

これまでのキャリアと、社外CFOとして独立されるに至った経緯をお聞かせください。

約5年前に社外パートナーCFO事業を行う株式会社プレアスを立ち上げました。 私自身は元々事業会社の管理部門で経理からキャリアをスタートして、財務経理・経営企画・ IRといった部門でキャリアを歩んできました。新卒ではパナソニックという非常に大きな企業がキャリアの入り口だったのですが、徐々に企業のフェーズが比較的小規模でかつ若い企業に移っていきました。

2015年以降、フルタイムでコミットするCFOとしての仕事を始め、そこから複数企業のCFOとして、IPOを目指す案件や事業承継案件などに従事しました。私自身がCFOとして仕事をしていく中で、企業フェーズが非常に若いスタートアップ・ベンチャー企業から地方の中堅企業、レガシーな企業なども含めてまだまだCFOへのニーズが非常に多いことを感じました。

その中で、本当はCFOを採用したいけれどもフルタイムのCFOがなかなか採用できなかったり、あるいはCFOとしての仕事量がそこまで多くないためフルタイムの必要がなかったりという企業が多くあり、フルタイムではないCFOへのニーズがかなりあると感じていました。ちょうどその頃に高森厚太郎さん(現日本パートナーCFO協会代表理事)との出会いもあって、 社外からパートナーCFOという形で企業をサポートするという事業を起こすのも非常に面白いなと考えて、独立しました。

これまでどんなクライアントのご支援をされてきたのでしょうか。

エリアや事業フェーズ、企業の規模感は様々で、複数企業を同時並行でサポートをしています。エリアで言うと、北は北海道から南は鹿児島まで全国各地のクライアントを支援しています。事業フェーズとしては、シード・アーリーといった創業して間もない企業から、シリーズA・B、IPO前といったフェーズの企業まであります。また、堅調な業績をあげている地方の有力中堅企業もサポートしています。そういった地方の有力中堅企業では、事業承継後に新規事業や資金調達、M&Aといった新しい仕掛けの検討やIPOを目指すといった話が出るケースが増えています。そのような際に資金調達やIPO準備といった新しい仕掛けができるリソースが社内にないということも多く、私が社外CFOという形でサポートに入ることが増えています。

具体的なご支援の事例についても教えていただけますでしょうか。

まず1つの事例として、創業2期目に入る頃から支援をしているアーリーステージのスタートアップ企業があります。この企業は比較的早めの時期から売上が上がり、資金調達を行った上で追加投資をすればさらに売上が伸びるというストーリーが見えていました。どうやってプロダクトマーケットフィットをしようかというようなフェーズの企業ではなく、調達したらすぐ資金を投入して一気に事業をグロースさせようというようなステージでした。現在6期目に入ったところで、シリーズAの資金調達も終えており、今後一気に事業をグロースさせて将来的にはIPOを実現させたいと考えています。

アーリーステージのスタートアップでのエクイティストーリー作成は社外CFOの業務としてもよくあるものかと思いますが、具体的にどういう作業なのか教えてください。

まずは、「こういう事業をやりたい」「こういう企業規模にしたい」という創業者の思いが軸となるので、最初にそれをお聞きします。その延長線上で、例えば「東証グロース市場に上場したい」あるいは「M&Aで大企業の傘下で着々と事業をしたい」といったイグジットについての考えもお聞きします。それらをお聞きした後に、例えば5年後に東証グロース市場でIPOを実現したいのであれば、2年後にはこれぐらいのことをやる必要があるとか、シリーズA・Bとして資金調達しないといけないといった、IPOに向けてやらなければいけないことのすり合わせをします。 

創業者が事業側で実現させたい内容やスピード感、規模感と、会社経営で必要な資金調達、社内の仕組み構築といったやるべきことの内容、スピード感、コストとをすり合わせ共通のイメージを持っていただき、1つのエクイティストーリーに繋げていくという流れで進めています。

創業者ご自身としてはIPOを実現させたいという思いがあっても、実際にはIPOが難しいという場合はどのようなご支援をされるのでしょうか。

まず社長から「なぜ上場したいのか?上場後に何を実現したいのか?」という点について思いを聞いた上で、明らかに市場環境(TAM・SAM・SOMの検討等)や会社業績、株式価値、社内体制の強化等の観点からIPOが容易に実現できそうにない場合はその旨とボトルネックとなる内容についてストレートにお伝えをします。 

そのコミュニケーションの中で、一つ参考になるのが証券会社のご提案です。上場準備にあたって、いわゆる主幹事証券会社を選ぶときに、彼らは提案書を作ってくれます。その中で「この事業であれば、これくらいの市場規模があって、上場時にこれぐらいの時価総額になりますよ」というバリュエーションのイメージやエクイティストーリーについてのご提案を頂くことになります。

私自身も複数の証券会社と繋がりがありますので、主幹事証券会社を決めるということだけでなく、社長が上場までのストーリー、上場後の事業推進のイメージについて解像度をあげたいという場合には、その点も踏まえて証券会社にご提案を依頼しています。そうすることでいわゆるエクイティストーリーや上場時の時価総額のイメージについてご提案をいただけることで、社長に具体的な上場のイメージや課題感を認識いただくようにしています。

上場を目指すにあたって、社外CFOとしての私自身の考えに上記のような第三者の意見も加えて、「当社としては事業戦略を変える必要がある」「まずはトップラインを伸ばして事業をグロースさせる」「社内体制を整えることが急務である」というような経営の重要課題のポイントを率直にお伝えします。それを踏まえて、例えば「単一事業で一気にシェアを伸ばすのか複数事業を展開していくのか」あるいは「M&Aで事業を拡大させる戦略へ変えていくのか」というようなテーマで、今後の事業戦略についてディスカッションをより深めていくというイメージです。

先ほどお話をされていた地方の有力企業の事例などもお聞かせいただけますでしょうか。

ある地方で店舗型のビジネスをしている企業で、売上は二桁億円規模というクライアントがいます。当初はM&Aの話があってそれを受けるかどうかという点についてご相談をいただいたのがきっかけでしたが、よくよく社長のお話を伺うと出来れば一気に新規出店を増やして事業を伸ばし、可能であれば将来的にはIPOも目指してみたいという想いをお持ちでした。ただ、社長は事業成長を実現させたいと考えていたのですが、身近に「参謀」がおらず、新規出店のための資金調達やIPO準備について具体的に何をどのように進めていけばよいのか分からないという状態でした。

そこで社長の頭の中にある経営の考えや事業の対しての思い等を「見える化」し、より具体的な事業戦略を定め、最終的なアウトプットとして定性面・定量面を含んだいわゆる「中期経営計画」を策定することに着手しました。当然ながら社長の思いには定性的な部分や曖昧な部分も多いので、一つ一つお話をお伺いしながら項目ごとに内容を紐解き、さらには定量面で具体的な計画数値に落とし込むことで(例えば1店舗あたりの売上やアルバイトの人件費、採用コスト等)、店舗毎の事業計画を策定し、最終的には全社での中期経営計画を策定しました。

中期経営計画を策定することで、「策定した新規出店計画を実現するには、どのぐらいの時期に何億ぐらい投資が必要だろうか」という、いわゆる投資計画および資金計画ができるので、その計画をもって、メガバンクや地銀など複数行に加えて、リース会社にもお声がけをして中長期にわたる融資スキームを検討頂きました。競合でもあり、ここ数年で新規出店を伸ばし大きく事業を拡大したドラックストアなども同じ道を辿っているはずなので、「その新規出店におけるスキームを是非当社でも使わせていただきたい」という話をして、各金融機関からご提案をいただきました。結果、中長期の融資とリースを組み合わせるような形で複数年にわたって10億以上調達を実現させました。

このような進め方で、最初に中期経営計画やエクイティストーリーを策定した上で、その内容を日経新聞に掲載いただけるように動いたことで、地方版のページに特集記事を掲載いただきました。その結果、より多くの不動産会社や金融機関等から注目されコンタクト頂くことで、一気に商談が進むことになったのです。通常、新規出店をする際に、全国区の大手企業でなければ新規出店場所を探すのに苦労するのですが、日経新聞に掲載されたことで、大手の不動産会社からも出店計画のお誘いや取引先との新たな商談が来るようになりました。このような形で、計画から実行までのサポートをしました。

地方の有力企業と言われる様な企業で、 社外CFOの支援があれば実はもっと成長できるという会社は多いのでしょうか。

非常に多いと思います。先程の例以外でも、創業100年以上の食品メーカーの支援ケースがあります。このクライアントは、財務体質はしっかりしているのですが、より細かいレベルでの管理会計を進めると同時に、今後の新しい事業展開に向けて攻め方がわからないという状態でした。特にオーナー企業においては、自社だけでは限界があり、外部人材を活用することで一気に事業がグロースできる可能性があるという企業は他にもたくさんあると思いますので、社外CFOという立場で付加価値を提供することでうまくサポートできればと思います。

ただ、こういった地方有力中堅企業の中には、オーナーの強い思いや極めて閉鎖的な環境もあって、そもそも初めから外部人材の活用を考えていない企業も多く、社外CFOとしてすぐには入り込む余地がないというケースも多くあります。一方で、トップが代替わりをすると、新しい代表の方が今後の経営に関して非常に危機感を持っていて、「このままの経営ではまずい」「やり方を変えるなら今だ」と思っていることもあり、そういったタイミングでご一緒できると比較的スムーズに支援が進められると思います。

IPO準備もご経験があると伺いました。IPO準備のご支援についても具体的にどのような業務なのかお聞かせいただけますでしょうか。

IPO準備の具体的な流れとしては、まず社内でのプロジェクト体制を構築すると同時に、主幹事証券会社および会計監査人となる監査法人を決めないとスタートできません。主幹事証券会社および監査法人の複数候補先にお声がけをして、ご提案をいただきます。それぞれ無事に決まれば、続いていわゆるショートレビュー(短期調査)を受けます。これは膨大な社内資料の確認やヒアリングを受けて、会社の現状把握と上場にあたっての課題の洗い出しを行うことで、主幹事証券会社・監査法人それぞれから膨大な指摘事項や課題についてレポートをもらうことになります。上場に向けて現状整備されていない・出来ていない指摘事項が記載されており、このショートレビューの結果を受けて上場準備のタスクリストを作成します。(タスク項目数が数百に上ることもよくあります。)そこからIPO準備プロジェクトがスタートして、タスクリストをベースに1つ1つToDoを潰していく形で進めていきます。主幹事証券や監査法人とは、月1回程度定例のミーティングを設けて、タスク進捗や課題内容を確認していくような流れになります。例えば「この論点はN-2の終わりまでに必ず解決しておいてください」「このタスク項目の運用は来期でも大丈夫です」というように、課題を1つずつすり合わせながら進めていきます。社外CFOとしては、全体のプロジェクトマネジメントを進めつつ、一方で、当然自分1人でやれることは限られているので、膨大なタスクについて関連する部署のタスクに落とし込んだ上で進捗を管理するというアプローチでプロジェクトを進めていきます。

IPOを実現させるために重要な2つのポイントのうち、1つは業績です。今のグロース(旧マザーズ)では、事業成長性の確保が上場の条件となっていて、事業計画を策定し、売上等が大きく伸長して高い成長性を実現させることで上場後も株式価値が向上することを示さなければいけないことが最大の課題です。もう1つはしっかりとした内部管理体制を構築するということです。例えば、リーガルチェック等を含めた契約管理、決裁権限に基づいた承認のためのワークフローの整備、反社チェック、内部監査等、整備すべき事項は膨大にあります。IPO準備ではこのアクセル(攻め=業績を伸ばす)とブレーキ(守り=内部管理体制を構築する)の部分を同時にやらなくてはいけないので、そのバランスをとることが非常に難しい課題です。

社外CFOへの相談を検討されている方のために、社外CFOの方に業務を依頼するメリットがあればお聞かせください。

一言に「社外CFO」といっても様々なバックグランドを持っており、それぞれ強みがあります。前述の通り、自社の経営課題やCFOに望むことをある程度絞り込んで明確化した上で、それを解決できそうな社外CFOを選ぶことでよりメリットを享受できるかと思います。

また、中小企業診断士や会計士・税理士といった士業の先生と社外CFOの違いは、社長と二人三脚で経営視点を持って課題解決ができるか、管理系の実務についてハンズオンでサポートできるかという点が挙げられます。もちろん、中には事業会社での実務や経営の経験をお持ちの税理士や会計士の方もいらっしゃるので一概には言えない部分もありますが、一般的には、中小企業診断士や会計士・税理士の方のご支援は、士業としての専門領域がベースであって、例えば会計的にはこうすべきという話や、税務的にはこのような処理が必要、節税対策はこのようにするとよい、というようなテクニカルな話が中心となり、あくまで第三者としてのコンサルティングがメインになると思います。一方、社外CFOの場合、自分自身の経営者経験や実務経験をベースにして、社長が描いている事業戦略を実行するための仕組み作りやKPI設計、資金調達などを経営者視点で社長とディスカッションをした上で、具体的な支援ができるのが強みです。

経理・会計・税務といった相談をしたい場合は、当然会計士・税理士の方への相談になるのですが、経営者視点で事業を伸ばすために実際何をどのように推進するかという観点では、 やはりそういった経営経験を持った社外CFOに相談する意義があるかなと思います。

これまでのご経験を踏まえて、どういう企業がどのように社外CFOを活用すると効果的と考えられますか。

どんな会社でも管理部門の体制や経営管理の仕組み等が全てしっかりと整っているということは正直ないと思います。そういった経営管理上の課題を整理した上で、「管理のこの部分が当社は弱いな」「今後新しい仕掛けとしてこんなことを考えているけれど、事業推進や経営管理において具体的なサポートが欲しいな」というように、課題の優先順位やサポートしてほしいポイントを明確化していただくと、社外CFOからより効果的にサポートしてもらう意義がでてくると思います。もちろんあらゆる経営課題に対して、全て解決を担えるフルタイムのCFOを雇うというのもオプションの1つですが、そもそも採用が困難で非常に時間とコストがかかりますし、課題のレベルや業務量からするとそもそもフルタイムのCFOまでは必要ない、というケースも多いかと思います。そういった場合に、まずは自社の経営課題の中で、どの部分を優先してCFOに取り組んでほしいのかを明確にして絞り込んでいただくと、自社によりフィットした社外CFOに出会う可能性が高くなり、かつ社外CFOの付加価値がより高まることで、社外CFOを活用する意義が出ると思います

また、例えば経営課題そのものや課題解決の優先順位が明確になっていなくても、社長が経営について相談する相手がいないという場合においても、社長の「参謀」「右腕」として社外CFOのサポートは非常に意義があると思います。経営のトップとして、社員には話せないが本当は誰かに相談したいことが山程あるというのは、社長にはよくあることです。社長だからこそ、周囲に簡単に聞けないし、当然取引先にも素直に話せないという時に、自らの相談相手・参謀・右腕になってくれて「こういうところが問題です。こんなアクションはどうでしょうか。」とストレートに言ってもらえることは、社外CFOだからこそのメリットだと思います。

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この記事の監修者

水野靖彦

株式会社プレアス 代表取締役社長 上場企業の財務経理・経営企画・IR等に従事した後、複数の事業会社においてCFO(最高財務責任者)を歴任。2019年8月株式会社プレアスを設立、代表取締役社長就任。「社外パートナーCFO」としてスタートアップや中小企業の経営支援事業を展開し、上場準備・M&A・資金調達等におけるサポートを行っている。

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