フリーランス・副業の業務委託契約8つの注意点

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フリーランス・副業の業務委託契約の注意点

フリーランスの方や、副業を持っている会社員の方が個人事業主として仕事を受ける際、仕事で発生したトラブルは個人の責任であり、自身で処理をしなくてはなりません。

最近は個人で仕事を受けるハードルも下がっているため、口頭で受発注を行って契約を結ばないという方もいらっしゃいますが、契約書を作成しておくことは、トラブルを避けるために必須の手続きです。そこで契約書を作成・確認する際に注意するべきチェックポイントについて説明致します。

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目次

注意点1.契約は名称よりも、中身が重要

フリーランスの方や副業をされている会社員の方が結ぶ契約の多くは、「業務委託契約」という名称ですが、契約の名称には意味はありません。

契約の種類は、民法で、売買・賃貸借などの歴史的に典型的な13種類の形態が定められていますが、これらは単なる例示にとどまるうえに、当事者の合意内容が不明であった場合の取り扱いを定めたものに過ぎません。典型例と異なる契約をすることや、民法に定められた契約について法律とは異なる内容を取り決めることも自由なのです。つまり、契約時には、○○契約という名称ではなく、個々の条項の内容を十分に吟味する必要があるということです。以下では、具体的にどのような部分を確認すればよいのかを説明します。

注意点2.契約の3種類について理解する

2-1.仕事をする契約は、労働契約、請負契約、準委任契約の3種類

民法は、金銭をもらって一定の仕事(労務、役務)を提供する契約の典型として、雇用(労働)契約、請負契約、準委任契約の3つを定めています。フリーランスや会社員の副業の場合、契約の実態は、請負契約又は準委任契約の場合が多いと言われています。わかりやすく単純化すると、この3つの典型例は、次のように分類できます。

雇用(労働)契約:使用者の指揮命令にしたがって、労務を提供する

準委任契約:独立して自分の裁量で、労務を提供する

請負契約:独立して自分の裁量で、仕事を完成させる

2-2.労働契約と、その他の契約は、どう違うのか?

まず労働契約とそれ以外の契約の違いについて見てみましょう。労働契約は、使用者の指揮命令にしたがって労務を提供する契約です。労働日、労働時間、労働場所、労働の仕方など、労務提供に関する基本的な内容について、労働者側に選択の自由はありません。その代わり、弱い立場にある労働者を保護するために、労働契約法、労働基準法、労働安全衛生法、労働組合法などの労働者保護法が適用されます。

これに対し、フリーランスや副業でよく用いられる請負契約や準委任契約では、作業を行う日時、場所、作業の方法などについて、発注者の意向に縛られることはなく、自己の裁量で自由に仕事を行うことができます。その代わりに、労働契約のように働き手を保護してくれる法律の適用はありません。

2-3.請負契約と準委任契約は、どう違うのか?

請負契約は、例えば家の建築のように、「家を建てるという仕事の完成」が目的となっています。どれだけ働いても、家ができあがらなければ仕事は完成したといえず、報酬金を請求することはできません。

準委任契約は、例えば、システム開発の手伝いを要請され、要件定義作業だけを補助することになった場合のように(システムの完成品を作って納めることは目的ではなく、それを手伝うことが目的)、引き受けた者の知識、スキルを生かして、独立して作業を行うこと、それ自体が目的となっている契約です。

「準委任契約」と「委任契約」とは……本来の「委任契約」とは、法律的な事務の処理を任せる契約を言います。弁護士の仕事が典型です。他方、法律的な事務以外の処理を任せる契約を、すべて「準委任契約」と呼びます。例えば、外科医師が手術を行う医療契約は準委任契約の一種です。もっとも、準委任契約には、委任契約の法律が適用されますので、両者を区別する実益はありません。

2-4.偽装請負に注意

先にも述べたとおり、契約では、民法の規定よりも、当事者の合意した内容が優先されます。

例えば、契約書に「請負契約書」という名称が記載されていても、発注企業の社屋内で、指定された日時に作業をしなくてはならない契約内容であれば、それは請負契約ではなく労働契約であり、労働者保護法の適用を回避するための違法な偽装請負である可能性が高いと言えます。このような発注企業では、実態が労働者であるのに、事故が起きても労災補償も受けることができない、不当な違約金を請求されるなど様々な問題に巻き込まれる危険性があります。

また契約の内容を判断するには、当事者間を実際に規律しているルールの内容から実質的な判断を行います。契約書には、労働日、労働時間、労働場所などが書かれていなくても、実際に働くに際して、発注側の指定にしたがうことを要求されるなら、それは本来労働契約であり、請負契約として扱うと偽装請負にあたる可能性があります。

注意点3.基本的な義務内容を十分に確認をする

契約の際に、①自分にどのような義務が課せられるのか、②自分はどのような権利を相手方に対して持つのかについて、しっかりと確認しなくてはなりません。

明確にするべき内容の第一は、どのような労務を行う義務があるのかです。義務を果たすことは、報酬を請求する前提ですから、ここが曖昧では、ただ働きを強制される危険すらあります。「その他、本件に付随する一切の業務」などという記載を目にすることがありますが、これでは義務の範囲が不明確過ぎ、不払いの言い訳を許すことになります。細々とした付随業務の発生が予想されるケースならば、「その他、本件に付随する一切の業務。ただし、本契約書に個別に明記されていない付随業務の発注は、その都度、別途発注書を発行し、あらためて合意のうえで遂行することを必要とする。」などと注記しておくことをおすすめします。


注意点4.報酬については細部まで決める

業務委託の報酬についての注意点

4-1. 特に合意がない限り、報酬は後払いが原則

仕事の完成を目的とする請負契約では、当事者の合意がない場合は、代金は仕事が完成した後の後払い契約となります(ただし、完成物を発注者に引き渡す必要がある場合は、代金支払いと引き換えでない限り完成品の引き渡しを拒否することができます)。準委任契約においても、当事者の特段の合意がない場合は、代金は、仕事が終了した後の後払い契約となります。

ただし、請負契約では、仕事が完成しない限り代金を請求できませんが、準委任契約では、契約が途中で終了した場合、それが引き受けた側の責任でない限りは、それまでに行った仕事の内容に応じた報酬を請求できます。

このように、報酬は後払いが原則なので、仕事の進捗に応じて、報酬金を分割で支払ってもらいたい場合は、かならず契約書に明記しておく必要があります。

4-2.報酬金の消費税は契約書に明記して請求しよう!

売上1000万円以下の事業者は免税事業者として消費税の納税義務が免除されていますが、自分の報酬を請求する際に、消費税分を加算して請求することは何ら問題ありません。そのため、消費税分は契約書に明記するべきです。内税では税抜き金額を明示してもらうようにしましょう。

4-3.報酬金の支払い経費は、発注者負担が原則

報酬金の支払いに際しては、請負契約、準委任契約を問わず、契約書に特別な記載ない限り、代金を支払う側の経費負担で、代金を受け取る側に金銭を渡さなくてはならない義務があります。仮に、銀行が利用できないとしたら、発注者が交通費を負担して、フリーランスの自宅まで現金を渡しに来る義務があるわけです。もちろん、今日では、金融機関口座への振込で済むわけですが、振込手数料は、上の民法の原則からは支払う側の負担となります。とはいえ、それを知らずに振込手数料を控除して振込をしてくる発注者もいますので、支払のタイミングで認識の齟齬が発生しないよう、あらかじめ契約書に明記をしておくのがよいでしょう。

注意点5.完成品(成果物)の納品方法や検収の方法、期間もできる限り契約書に明記する

納品方法や検収については、民法は何らの規定も置いていませんから、契約書にどのように合意されているか次第です。通常は、その業界の商慣習にしたがった内容が記載されていると思われますが、例えば検収に要する期間が著しく長いなど、不合理に不利な定めがないかどうかは、よく確認しましょう。

注意点6.完成品(成果物)の著作権の行方を確認する

請負契約による完成品には、著作権が認められます。著作権は、著作物を創作した者に、創作の時点で自動的に与えられる権利(無方式主義)です。例えば、請負契約に基づいてプログラムを作成した場合は、「プログラムの著作物」として作成した者に著作権が認められます。

そのままでは発注者は完成品を自由に利用できませんので、通常は、完成品の引き渡しとともに、著作権を発注者に譲渡することが契約に明記されます(著作権の譲渡)。著作権の譲渡により、著作物に関する権利(コピー権、譲渡権、貸与権など)は発注者に移りますので、創作者といえども、無断で完成品をコピーしたり、利用したり、譲渡したりすれば、発注者の著作権を侵害したことになります。

なお、創作者には譲渡できない「著作者人格権」というものが残ります。その内容として、「公表権」や「同一性保持権」などがあるので、著作権を譲渡しても、創作物を自分で公表したり、内容の改変を許さない権利があると理解されることがあります。しかし、公表権は、未発表の創作物を公表するかどうかを決める権利であり、通常は、著作権の譲渡に伴い、譲受人による公表に許諾を与えていると理解されているので、この権利はすでに失われています。

また、内容を改変されない同一性保持権はプログラムに関しては、バージョンアップをすることは同一性保持権の例外として許されています。

注意点7.瑕疵担保責任について確認する

請負契約については、民法に瑕疵担保責任が規定されています。これは完成品に通常期待される性能を満たさない欠陥があったときに、請負人が負担するべき責任(補修義務、損害賠償義務、契約解除)です。

請負人は、もともと完成品を作る責任がありますから、このような規定がなくとも、責任を負担することは当然ですが、民法は、この責任を無過失責任として重くする一方で、責任を負う期間は仕事の完成から1年間(完成物の引き渡しを要するときは、引き渡しから1年間)に限定してバランスをとっています。

このため、請負契約では、瑕疵担保責任の責任期間は延長する形で強化されることが通常です。あまり長い期間が設定されていると、いつまでも責任追及される危険があります。

注意点8.秘密保持についての合意を確認する

秘密保持については、民法に特に規定はありません。通常は契約書で、業務の内容を第三者に公開しない旨の条項を設けてあり、違反に対しては損害賠償請求が可能と記載されています。

例えば、自分がこのような作品を作成したという実績をPRする目的で、作品の概要や納品先をサイトに記載したいという程度の要望であれば、承諾してくれる発注先は少なくないと思います。その際にも、必ずその承諾を得たことを契約書に明記するか、別途の承諾書を発行してもらいましょう。

契約締結の際には以上で紹介したポイントをよくチェックすることで不要なトラブルを避け、クライアントとの良好な関係を継続できるようにしましょう。

※また、自分のチェックだけでは不安な場合は弁護士の方に契約の内容を確認してもらうようにしましょう。

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この記事の監修者

Anycrew Blog 編集部

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